【実況者】こんなに好きなのはあなたが初めて【キヨ】 (ページ15)

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第13話ページ15

いつもなら走って15分の道のりを5分で辿り着くと、コンビニの前でフジが笑顔で手を振って立っていた。
Aは息を切らせながらすみませんと言いつつ近寄る。

「本当に走って来たの！？焦らなくても全然よかったのに...！！大丈夫？水飲む？？」

そう言って差し出された水。彼が飲んでいたものだ。

「いや、それはさすがに...あ、私奢りますのでコンビニ入りましょ！！！」

いいよいいよと言うフジの腕を無理やり引っ張り中に入ると自分の飲み物を選ぶ。
フジの分も持ってレジに並ぼうと思い、彼の元へ行くとアイスを選んでいた。

「Aちゃんは何が好き？」

「ん～、これですかね」

「じゃあそれにしよっ」

指を指しながら言ったものを手に取ると、私の持っていた飲み物まで持ってレジへ歩いていく。
その後を追い、お財布を取り出そうと鞄を漁っている間に彼がお金を店員さんに渡す。

「え！？いやいや違いますって！私が払わないと意味ないんですって！！」

慌てて止めたが、時すでに遅し。彼のお会計は終わっていて、ありがとうございますと言いながらレシートとお釣りを受け取ると振り向き、笑顔で「いいの」と言う。

「本当にごめんなさい、遅刻したうえに飲み物も奢ってもらっちゃって...」

二人で店を出てすぐに謝る。

お茶を受け取ろうとすると、
「いいんだって。女の子に払わすわけにはいかないだろ？」
と笑顔で言う彼に少しドキッとする。
その笑顔に少しの間見とれていたら、これ今飲む？と聞かれ、ハッとして頷く。
すると彼は私の手からペットボトルをスルリと取ると、キャップを開けて一口飲んだ後手渡してきた。
何が起きたのかわからず呆気に取られていると、

「はい、これでおあいこね。」

と、顔を真っ赤にして言った。
私も釣られて顔が赤くなり、小さくはいと返事をするとそれを一口飲んだ。

「あ、げ、ゲーム！！ゲーム貸してくれるんだったよね！？」

なんだか気まずくなり、無言で立ち尽くしていると彼が口を開いた。

「あ！ゲーム！！！」

すっかり忘れていた。
急いで出てきたものだから彼を待たせてはならないと、それしか頭になかったのだ。

「もしかして忘れちゃった？？」

それを悟ったのか、彼はそっと顔を覗き込む。

「ごめんなさい...」

寝坊までして奢ってもらったにも関わらず、今日の目的のゲームを忘れるとは...
自分の馬鹿さ加減に呆れて落ち込みながら呟くと、彼はふふっと笑い、いいよと言いながら優しく頭を撫でられた。