68 信じる気持ち ページ29
ゼンが白雪に想いを伝え
白雪もゼンの手を取った。
進みだした2人とくらべ
自分はまだ足踏みしていた。
『参ったな…』
まだ外は暗いが
気分転換に薬室へ向かう。
日が昇る少し前どころか、
だいぶ前に目が覚めてしまった。
自分が眠ったかどうかも定かではない。
薬室までの城内の長い道のりの間
気配を感じて
ぴた、と立ち止まる。
タイミングが良いのか悪いのか。
きっと狙ったんだろう。
すぐに誰かはわかった。
深呼吸をする。
「お姫様、俺と夜明けでもみて少し話さないかい？」
後ろからかけられた声。
いつものAではない。
私は、いまあの頃の顔をしている。
あのときとなにひとつ変わらない
顔つきで、…想いで。
振り向かずに、コツコツと進む。
ありゃ、と小さい声が後ろから聞こえた。
そばにあった空き部屋の扉を開ける。
すっと入ると
彼もAの意図を理解したようで
困ったお嬢さんだ。と言いながら
部屋に入ってきた。
『何？…＿＿オビ。
あれほど呼びたくても
呼ぶまいと堪えていた彼の名前が
自分の口から何の違和感もなく出てきたことに少し面食らった。
彼も、驚いたような顔をした。
2人の間に沈黙が流れる。
沈黙をやぶったのは
彼の方だった。
「俺はいつまで待てばいいんだい
＿＿＿＿相棒さん、A嬢。
…いや、Aって呼んでたね
こういう大事なときは」
その声で。
記憶が螺旋状によみがえる。
『＿＿な 何……で？…』
Aはまだ何も言ってなかった。
でも彼は確かに
彼女をあの頃のように呼んだ。
優しい、困ったような目で
Aを見つめるオビが
ゆらっと近づいてきた。
「俺があんたの匂いと声。
忘れるとでも思ったわけ？」
匂い？声？
そんなもの再会したときすぐにわかるものではないか。
Aはまさか、とオビをみる。
『…はじめからわかってた…？』
「まぁね
でもあんたの口から聞きたかったんでね」
見つめ合う。
難しい説明や何度も繰り返し考えた言葉は
すべて無意味だった。
オビは再会した瞬間に、
声と匂いでAだと勘づき
戦う時の動きで確信を得たという。
なるほど、それであの表情か…
(27 ラクスド砦_6より)
夜明けが近づき
クラリネスの街に光がうっすらと見え始める。
太陽の放つ色が空とまじり
鮮やかに咲いた。
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Spring greens(プロフ) - 寧子さん» 本当にすみません(･_･;でもそんなにしっかり読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます！ (2016年2月19日 18時) (
レス) id: ab27827dfa (このIDを非表示/違反報告)
寧子(プロフ) - Spring greensさん» なるほどです！理解しました最後まで読んだので見落としていたら嫌だったのでまた読み替えていましたww丁度この2を見てますw (2016年2月18日 22時) (レス) id: 2c750c2fb5 (このIDを非表示/違反報告)
Spring greens(プロフ) - 寧子さん» すみません、説明不足でした！まだ書いていません！これからの予定です。anotherstoryの5以降、ということになります。 (2016年2月18日 22時) (レス) id: ab27827dfa (このIDを非表示/違反報告)
寧子(プロフ) - Spring greensさん» それはもう書いてるということですか？！これからですか？すみません理解力なくて読んでる時私が見落としたりしてるのかな汗それならスミマセン(_ _)でも私この作品大好きです！！！ (2016年2月18日 22時) (レス) id: 2c750c2fb5 (このIDを非表示/違反報告)
Spring greens(プロフ) - 寧子さん» なかなか鋭いですね！笑 いま、このシリーズも長いこと5までやらせていただいておりますが もう少し先で明らかになるかもしれません笑 実はもともと決めていた設定があります！ (2016年2月18日 6時) (レス) id: ab27827dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Spring greens | 作成日時：2015年11月16日 16時
