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89話 ページ39

Aが合流してしばらく経った。

何とか距離を近づけながら戦っていると、Aは悲鳴嶼と背合わせで立っていた。

その時、悲鳴嶼が話し出す。


「石黒、お前は痣を出したことあるか」

『……皆さんが今出されている、あの模様ですか』

「そうだ」


Aは確かにあの条件に近いことを満たしたことがあるのを覚えている。

まだ十四だったあの夜、初めて下弦の壱を倒した時。


『痣は出てないかと思います。
ただ、それに近い状況には』


Aは触手を避けながらも、悲鳴嶼の言葉に耳を傾ける。


「出せるか」

『……そんな簡単な問題でもないでしょう』


Aは刀を握り締めた。

すると鼓動が跳ねる。


『あ……』

「石黒」


Aは、ふと実弥が血を流した瞬間を見た。

その時、自然と体が動いた。


『たったの十秒だけでいい、時間をください』

「石黒?」

『たった十秒、彼と一緒にいさせてください』

「……行くぞ」


二人は同時に動き出す。

そこで、Aは実弥の体に自身の体を当てた。


「A!今の状況…」

『お願い実弥。
たった十秒だけでいい』


同時に、悲鳴嶼が動き出す。

全員に状況を伝えて、Aが言った通り、早いようでいて遅い十秒の時間を稼ぐ。


Aは実弥の胸に手を当てた。


『必ず、生きて帰る。
その為にあなたと約束する』

「…」

『生きて帰るだけじゃなくて、一緒に死のうって』


Aは体が熱くなり、鼓動が早くなるのを感じる。

最後にほんの一瞬、Aは実弥の痣に手が触れた。


『行こう、実弥』

「あァ」


そのたった十秒で、体力は削られる。

Aは全身が熱くなるのを感じながら笑う。


『雷の呼吸、肆ノ型、遠雷!』


Aの一撃で、冨岡を貫こうとしていた触手は断ち切れた。


「石黒……」

『時間稼ぎ、ありがとう』


Aは素早くそこを離れて、次々と攻撃を与えていく。

そうして行く内に現れた。


胸から腹にかけて、確かに浮かぶ稲妻の痣が。

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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時

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