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80話 ページ30

Aは涙を拭うと、雷生を布に包んで、鳴屋敷にやって来た。

そこで二人は踏鋤(ふみすき)で土を掘ると、Aは雷生を寝かせた。


『……おやすみ、雷生』


Aは土を被せていく。

時が経てば、土となり、この地にあり続ける。


「新しい鎹鴉、どうするんだァ」

『任務に出ないって考えると、必要ないかもね。
ただ、実弥たちから救援要請が出たら、そこに向かうだけだし』

「……そうかィ」

『十年も一緒にいたから、他の鴉とも今更仲良くできると思わないし。
爽籟もいるんだから、いっかな別に』


Aの言葉は、どこか冷たかった。

本当に他の鴉を受け入れたくないのだろう。

雷生と長く過ごしてきた分。


「そう思うならそれでいいと思うぜ、A」

『ありがと』


Aは笑った。

最後に押し潰さない程度に土をトントン、と叩いて、Aは立ち上がった。


『よし、これでいっかな』


Aは隊服の上から羽織るようになった白の羽織を握った。

これを着けるようになって、雷生は褒めていた。

A的には素肌全部を覆う感覚が嫌いなので、通気性のこれになったのだが。

それでも、幼い頃から見ている雷生は安堵したらしい。

実弥にそう零していた。


「行くか」

『うん』


実弥はふと雷生と二人になった時に、そんな話をした。

余程、可愛がられて愛されていたんだと知る。

実弥は少し立ち止まると、雷生の墓に振り返る。


「必ず守ってやっから、見守っとけ」

『実弥?』


Aが振り返ると、実弥もAを見て歩き出した。


「飯、食いに行くかァ」

『うん』


こうして、気分転換も必要だろう。

実弥はAと手を繋いで街に出た。

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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時

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