75話 ページ25
「いったぁぁぁ……」
「おや、どうかしたんですか善逸くん」
全身を痛そうに摩ってる善逸を見たしのぶは首を傾げた。
善逸はそんなしのぶを見て答える。
「おねえちゃんと特訓してて、そしたら、筋肉痛で……」
「おやぁ……Aさんが訓練する気になったんですね」
「……何かを決めたように俺に任せるって言ってました」
善逸の言葉にしのぶは、そうですか、と頷いた。
そんなしのぶの様子に、善逸は口を開く。
「おねえちゃん、何かあったんですか?」
「え?」
「なんか、前まで不安定だったのが、今は安定している音になってて……」
「耳が良かったんですっけ、善逸くん」
「まぁ……」
しのぶは顎に指を当てると、何度か頷いて善逸を見た。
「善逸くん、少し私とお話しましょう!」
明るめに言うしのぶに、善逸は首を傾げた。
そしてついていくと、いつもの診察室に着いて。
しのぶは話し出した。
「善逸くんは、初めはAさんだと気づかなかったんですよね」
「あ、はい。なんか音が違いすぎるのと、雰囲気も全然違うし……」
「以前はどんなでした?」
「なんていうのかな、不安定なんだけど静かだったって言うか。
いつ鳴るのか分からない感じでした……。けど、会ってみると、前よりも音がはっきりしてて、音が不安定な分、感じ取りにくくて……あんな風に笑わなかったし」
「昔から、なんですか?」
「俺もあんまり会ったこと無かったんですけど、そんなに笑ってなかったですよ。
この人の感情どこにあるんだろ?って気持ちで見てましたし。
でも、頭を撫でてくれる手とか、たまに聞こえるすごく優しい音が好きで……」
「……お姉ちゃんっ子なんですね」
「え、あぁ、まぁ……」
「私と同じです」
しのぶの悲しい表情と、悲しげな音に善逸は目を見開く。
「私も、四年前まで姉がいました。花柱として。
そして、Aさんとは同い年ということもあり、親友だったんです。
けれどある日、姉さんが死んだ日から、Aさんは変わりました……」
話し出したしのぶの言葉に、善逸は耳を凝らした。
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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時