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82話 ページ32

Aは柱稽古に参加せず、実弥と籍を入れたことを隠しているので、皆が来ている間鳴屋敷で生活をしていた。

自身がいる時は隠を来させないので、雷生もいなくなった今、一人だ。


『一人、かぁ』


Aは縁側で日向ぼっこをしながら空を見上げた。

鴉が飛んでいる。


『雷生がいたから、一人ぼっちじゃなかったなぁ』


Aは寂しくなった。

ふと、カナエがいなくなった時を思い出す。

煉獄がいなくなった時を思い出す。

宇髄が柱を引退するきっかけになった戦いを思い出す。

苦しい中修行した一年間を思い出す。


『あ、師範、元気かな』


柱になってから、片手で数えられる程度しか会わなかった師範。

育ての親である育手、慈五郎との日々を思い出す。


『六歳から十一歳まで、育ててもらってたんだよなぁ……』


あの日々が懐かしく思える。

とても懐かしい。

いつか、時間ができたら遊びに行ってみようか、と思った。


『元気だといいなぁ』


Aは笑いながら空を飛び交っていた鴉たちを見ていた。

柱稽古を行わないか、と通達がやってきたが、自分の稽古は必要無いと判断して断った。

実際、今の柱だけでも回せている。

強くなれるかなれないかは、その人次第。

Aは極たまに実弥との逢瀬を楽しみにこの時間を生きていた。


『あ、でも……独りは初めてか』


Aは雷生の墓に目を向けた。


『雷生、あんたがいないと、私独りじゃん』


帰ってくる言葉は無い。

Aは寂しくなった。


『……あーあー、会いたいなぁ……みんなに』


Aは廊下に寝転んだ。

優しい風がAの身を包み、Aはゆっくりと瞼を閉じた。

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やぁと(プロフ) - 柚葉さん» コメントありがとうございます!優しい彼を描けて良かったです。ラストはすごく悩んでできたシーンなので、涙を流していただき感無量でございます。ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 20時) (レス) @page49 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 完結おめでとうございます!実弥さん推しの私ですが、こんな実弥さん大好きです!ラストは涙流しながら読みました。 (2021年11月25日 19時) (レス) @page50 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 金平糖さん» 再びコメントありがとうございます!どうにか無事に完結を迎えられました!感動的なラストを金平糖様にお届けできて幸いです。長々とお付き合い頂きありがとうございました!またの機会がございましたら、その時もどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)
金平糖 - 完結おめでとうございます。最後の最後でどばーーーっと涙が… 本当に、完結おめでとうございます! (2021年11月25日 17時) (レス) @page50 id: 63ca64d519 (このIDを非表示/違反報告)
やぁと(プロフ) - 実弥&左馬刻&勝己LOVEさん» 原作とはかなり性格違ってるのでは?と申し訳ないと思いながら書いてるのですが、喜んでいただけて幸いです。これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2021年11月14日 23時) (レス) id: a03889f26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月27日 17時

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