元柱だった隊員・2【不死川実弥】

51話 ページ1

妓夫太郎はAだけではなく、後から合流した善逸や伊之助、それに炭治郎たちを見て、イライラし始めた。


「下っぱが何人来たところで幸せな未来なんて待ってねえからなあ。
全員死ぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなあぁ」


そう言う妓夫太郎はこめかみの所をかきすぎて血が流れていた。

炭治郎は堕姫のみを相手していたので驚いた。

鬼が二体になっていたのだ。だが分裂したとしていたら、本体が男の方なのは分かる。

それほどに感覚が違っていた。

炭治郎の手が震える。疲労からだろうか、それとも恐れ。

それでも、と、炭治郎が自分を鼓舞する中、宇髄とAは声を上げる。


「勝つぜ、俺たち鬼殺隊は」

『勝つよ、私たち鬼殺隊は』


そんな二人の言葉に、炭治郎は目を見開く。

だが、鬼にも鬼の矜恃はある。


「勝てないわよ！頼みの綱の柱の一人が毒にやられてちゃあね！！」


Aと炭治郎は宇髄を見た。

そこでAは宇髄の違和感に気がついた。

それでも宇髄は諦めていない。


「余裕で勝つわボケ雑魚がァ！！
毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ！
人間様を舐めんじゃねぇ！！」

『ふっ、それもそうね、私らは呼吸を極めた化物中の化物。
あんたらが十二鬼月になったように、こっちも柱だったりしてるし、条件は同じ』

「それに、こいつらは三人共優秀な俺の継子だ！逃げねぇ根性がある！！」

「フハハ！まぁな！！」

「それに、剣が速すぎて、誰も刀身を見たことの無い刃を持ってる奴もいるんだよ！！」

『それって私の事じゃん』

「手足が千切れても喰らいつくぜ！！
そしてテメェらの倒し方はすでに俺が看破した！」

『おぉ、流石』

「同時に頸を斬ることだ、二人同時にな！！」


炭治郎が見上げた宇髄は、頼もしかった煉獄が重なって見えた。

やはり、安心感はすごい。


「そうじゃなきゃそれぞれに能力を分散させて弱い妹を取り込まねぇ理由がねぇ！！
ハァーーーーッハ！！チョロいぜお前ら！！」


だがAからしたら、すぐ調子に乗るコイツに頭が痛かった。

それでも、やる。

それが鬼殺隊で、柱なのだから。

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