49話 ページ49
Aside
エコー写真を持って、実弥のお母さんに妊娠報告のサプライズを計画した。
お父さんは大学入学直前に亡くなったから、仏壇での報告だ。
「ただいま」
『お邪魔します』
「はーい、おかえりー」
私たちはそれぞれ中に入ると、お母さんが奥で家事をしていた。
私たちは手洗いうがいを済ませると、リビングに入った。
そこでは大きくなった玄弥くんが料理をしていて、お義母さんは弟妹たちの様子を見ていた。
『はい、お義母さん。これ良かったら皆で』
「まぁまぁいつもありがとうねAちゃん」
お義母さんは昔と変わらなくて、とても優しい。
嫁いびりどころか、私を実の娘のように可愛がってくれてる。
お義母さんがお土産を広げていると、等々エコー写真を入れた封筒に気づく。
「あら、これは?」
「見てからのお楽しみだァ」
実弥がそう言うと、お義母さんは封筒を開けて写真を取りだした。
それをじーっと見つめたお義母さんは、嬉しそうに私を見た。
「あらあらあら、Aちゃん」
「何なに?」
玄弥くんも奥から出てきて、他の子達も気にし始めた。
すると、お義母さんが泣き出した。
「おめでとう、よかったねえ」
『っ、ありがとうございます』
お義母さんはそう言って私を抱きしめてくれた。
何度か抱きしめてくれたお義母さんの温もりに、私は涙が溢れた。
「え、何、赤ちゃん!?」
「え!?」
「さねにいがパパ?」
「あぁ」
後ろの方で兄弟がやり取りしてたけど、私はそれどころじゃなくて途中からお義母さんにしがみついて泣いていた。
不安が沢山あるから。怖いことが沢山あった。
お義母さんはそれに気づいてくれてるのか、私が泣き止むまで抱きしめてくれた。
そんなこともあった妊娠初期。
無事に出産した私は、病室で天元が抱っこしている姿を見ていた。
「Aそっくりだな」
『目元は実弥だけどね』
「なんか、二人の子だなってのがド派手に分かる」
そこで天元から実弥に手渡されると、実弥は既に父親で。
これからが楽しみだと思った。
最終的に私の腕に落ち着いた我が子を抱きしめて私は願う。
『これからも、どうか、よろしくね』
愛するわが子に、沢山の幸せがあることを。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月1日 23時