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26話 ページ26

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Aside


幼い頃から、母はそうだった。


「ねぇあなた、今日は何時に帰ってくるの?」

「早くて六時かな」

「準備して待ってるわ」


父が仕事に向かうと、私のことは居ない扱いをして、一日を過ごしていた。

ただ、唯一ご飯だけは用意してくれてたから、それで良かった。


父も、私は視界に入ってないように扱ってた。


家族で外食なんて、したことない。

もし二人が外でご飯食べる時は、何も無い。


それが当たり前だった。


別にそれが当たり前だったから、気にしたことなんて無かった。

外を知らなかったから、気にしたことなんてなかった。


そんな中、私は宇髄天元に出会った。


会えば彼に喧嘩を売って売られ。

それで四年間過ごして、

小学五年生の時に、家族が壊れた。


「いやよ、いやよあなた、どうしてわたしを捨てたのよ」

「重いんだよ。ずっと。
仕事のあともゆっくりできやしない、それが嫌なんだ」

「そんな、どうして!
なら最初から言ってくれれば」

「どうせ、そう言っても君は癇癪を起こす。
だから君とはもうやって行けない」


そう言って父は家を出ていった。

母も病んで、何度か私を殺そうとした。

けど、いつの日か、目を覚ましたら母も家を出ていってた。


私は捨てられたんだと思った。


改めて荷物を取りに来たらしい父は、母が居ないで、リビングに座り込んでた私に声をかけた。


「A、お金は父さんが出す。何か必要なことがあればここに連絡してくれ。
ただ新しい家庭もあるから、連れていくことは出来ない。それが嫌なら出ていってくれ」


なかなかに酷い父だと思う。

私は従うしか無かった。


それから三者面談の時は父が来てくれてた。


それ以外、会うことは無い。


風邪をひいた時も、寂しい時も、父が居てくれたことは無かった。


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だからこそ、私を見てくれた宇髄と不死川くんに弱かった。

優しい眼差しで私を見つめる不死川くんが眩しかった。


私は不死川くんの気持ちを聞いて、嬉しかった。

こんな私でも受け入れてくれて、好きだって言ってくれて。


これで惚れない人なんて居るのだろうか。

私は一瞬で落ちる。イチコロだ。


私は、涙を零さないように息を吸って、顔を上げた。


『よろしくお願いします』


この日、私たちは付き合った。

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月1日 23時

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