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38話 ページ38

不死川実弥side


Aが愛されることに慣れなくて、涙を流してた夏休み。

終わる頃に、妹のことが生まれた。

デートの途中、近くのファミレスに寄った。


「A、良かったら見舞い来ねぇか」

『え?』

「母さんも会いたがってるし」

『あ、えっと、良ければ、行かせてください』


Aはわざわざ箸を置いて、姿勢を正して頭を下げた。

その様子に俺は笑う。


「そんな堅くなんなくて良いぜ」

『あっ、そっか』


Aはそう言うと、顔が赤くなった。

照れてる。


『妹、可愛い?』

「ふにゃふにゃだぜ」

『いいじゃん、可愛くて』


Aは笑いながら食事を再開した。

冷しゃぶパスタを食べてるAと、とり天定食の俺。


『ねぇ実弥、』

「ん?」

『お見舞いって、ゼリーとかがいいかな』

「あー、そういうの気にしなくていいよ、ガキだし」

『で、でもさ……』

「顔が見れたらそれで十分なんだよ」


俺がそう言うと、Aはそういうもんか、と頷いた。

多分、こいつの家庭環境もあるんだろうとは思う。

中学生に家族で何強請るんだって話だ。

愛されることを知らないから、愛されようとして物を渡そうとする。

今までの行動パターンがそうだった。


「A」

『何』

「今度はどこ行く?」


俺が愛してるってことを、全力で伝えてやる。

だから、全力で来いよ。

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月1日 23時

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