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「ただいま。」
きっと彼は私が眠ってると思って、そんなことを言ってるんだと思う。
だって、聞き取れないくらいの囁き声だから。
「たまには起きてるAに会いたい。
話したいことがいっぱいあるのに。」
なんだ…、横尾さんだって、本当は私と話がしたかったんじゃん。
いつもこんな風に、寝ている私に話しかけてたの？
「おやすみ。」
そう囁くと私を抱いたまま、枕に頭を沈めてしまった横尾さんがあまりに愛しくて、我慢できなくなった。
「おかえり。」
そう声をかけたら、横尾さんは驚いて頭を起こす。
「…起こした？」
「ううん、起きてた。」
「いつから？」
「帰ってきた時から。」
「…まさか、聞いてた？さっきの。」
「聞いてた。」
正直にそう答えただけで、横尾さんの体は脱力してしまう。
「なんか…、恥ずかしいんだけど。」
「もしかして、いつも話しかけてた？
寝てる私に。」
「話しかけてた…。」
なんでだろう。
他愛もないこんな出来事が、こんなに嬉しいなんて思ってもみなかった。
「Aが起きてるんなら、ちょうどよかった。
話したいことがあって。」
「私もある！」
「じゃあ、どっちが先に話す？」
「じゃんけんしよう。」
ベッドサイドの明かりを付けたら、久しぶりに横尾さんのリラックスした表情が見えて、泣きそうになった。
じゃんけんは私の勝ち。
だけど、横尾さんの話を先に聞きたくなって、急かしてみた。
「うちの事務所、外資系だから夏休みが２週間取れるんだけど。」
「２週間って、すごくない！？」
「クリスマス休暇もあるらしいよ。
だから、夏休み、どこか旅行にでも行かない？」
「旅行！？」
「どこでもいいよ、海外でも。」
「ここんとこAとの時間がゆっくり取れなくて、こんな風に毎晩Aの寝顔を眺めるだけの生活に飽き飽きしてたから。
冬にも２週間休暇が取れるみたいだし。」
「そんなに？」
「仕事も…、今は覚えなきゃいけないことがあって忙しいけど、慣れてきたら早く帰れるようになると思うから、それまで少しだけ待ってて。」
「…うん」
「それまでは、Aの寝顔を見ながら毎晩話しかけてていい？」
いいよ。
寝たふりして待ってるから。
だから、毎晩私に「おやすみ」を言って抱き寄せて。
ＥＮＤ
終わり
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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (
レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました！またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω＼)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました！ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年7月8日 3時
