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翌朝、バイトがあるのに私は思いっきり寝過ごしてしまっていた。

よく友達から聞く「彼氏に寝かせてもらえなかった」っていうのは、まさにこういうことか。

ベッドの中に横尾さんを残して、1人で部屋を出る。

横尾さんは本当に安心しきった顔をして、よく眠っていたから、

きっと今まで張り詰めてたものから解放されて、やっと楽になれたんだと思う。

それに、私のベッドで熟睡してくれるとか…、幸せ過ぎなんですけど。

昨夜の出来事を反芻しながら、バイト先へと急ぐ。

あの堅物の横尾さんが、あんなにベッドの中では情熱的になるとか、予想してなかった。

きっと淡白で、終わったらさっさと背を向けて寝ちゃうタイプだと思ってたのに。

昨日は、何度めかの後で、私が寝付くまで腕枕でずっと髪を撫でてくれていた。

…幸せって、こういうことを言うのかな。









定時キッチリにバイト先から飛び出して、向かうは横尾さんの待つ私の部屋。

マンションで自分の階に降りた時に、不意に美味しそうな匂いが漂ってるのに気付く。

いつも思うんだ、この美味しそうな匂いの発信源が我が家だったらいいのにって。

だけど今日はその願いが叶った。

玄関のドアを開けた途端に、全身をその美味しい匂いに包まれてしまう。

「おかえり。」

ワンルームの我が家は玄関のすぐ前にキッチンがあり、横尾さんはそこでフライパンを振っていた。

「ただいま」も言わずに、その背中にぎゅーっと抱きついてみる。

こんなに早く帰って来たのはね、不安だったから。

帰ったら、誰もいなかったらどうしようって。

横尾さんは見慣れない服を着ていたから、思わずその服の裾を引っ張ってみる。

「ああ、これ?
今日、自分の部屋に荷物を取りに行ったから。」

涼しい顔でそう答えては、

「手を洗って、着替えておいで。
もうすぐ出来るから。」

優しくそう言って、私の頭をひと撫でした。









まるで新婚生活じゃん!

立場はまるで逆だけど。

テーブルの上に、まるで外食みたいな料理を並べている横尾さんを見ながら、

普段はこんなに物静かなのに、夜になると豹変しちゃうんだ、とか。

さっきから(よこしま)なことばかり考えてしまう。

「週末には、あの秘密基地の部屋に移ろうと思うんだけど。」

「自分の部屋は?」

「引き払う。」

なんだ…。

荷物を持ってきたとか言うから、ずっとこの部屋にいてくれるんだと思ってたよ。

「もちろんAも連れて。」

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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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