原色Ａ型男子図鑑→y

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横尾さんって…、意外に可愛くない？

そんなに私のことが好き？

「本当は顔を見たら、触りたくなっちゃうんだろうけど。
それは我慢する。
キスだって、本当はするつもりじゃなかったのに、我慢できなかったから。
今だって、Aに手を出したいのを必死で我慢してるんだけど。」

ヤバい…、完全に腰砕けた。

温泉に浸からせてアルコールの入った横尾さんが、こんなに可愛く仕上がるとは！









「…もしかして、呆れてる？」

私があんまり何も言わないからか、心配そうに顔を近づけてくる横尾さんの、

その唇を暗がりの中、奪ってみた。

驚いた横尾さんが逃げ出さないように、片手で首をホールドして。

ちょっと前の私なら、自分がこんなことをするなんて想像もできなかった。

あまりに恐れ多くて、自分から触ることもできなかったから。

もったいぶって、余韻を残すように唇を離せば、拗ねたような横尾さんの声が聞こえてくる。

「俺、そんなに隙があった？」

「…あった。
誘ってんのかと思った。」

横尾さんは深いため息をついて、もう一度私のことを深く抱き寄せた。

「あんま…、誘惑しないで。
さっき言ったじゃん、我慢してるって。」

「しばらく会えないんだから、キスくらいはよくない？」

「いいけど…。
これが最後ね。
俺は好きなものは最後に取っておくタイプで、今、それを励みに頑張ってるから。」

「私と会わない間、横尾さんは何をするつもりなの？」









「…話してもいいけど、Aを共犯にしたくないから、言わないでおく。」

「そんなにすごいことをするつもりなの？」

そんな私の質問には、横尾さんは答えてくれない。

だけど、

「細心の注意をはらわないと、失敗してしまうかもしれないから。
かなり精神的にも疲れると思う。
だから一日の終わりくらい、Aの顔を見てほっとしたい。」

なんて、母性本能をくすぐることを言っては、小さくあくびを噛み殺した。

「Aといる時だけだから、リラックスできるのは。
早く、毎日Aの傍にいられるように頑張るから。」

何？この殺し文句は。

まるでプロポーズみたいじゃない？

でも私だって、横尾さんといる時間は、砂糖水のように溶けてなくなっちゃうくらいの、甘ったるい時間で。

こんな気持ち、初めてだから。

一緒にいてこんなに胸が疼く人は、横尾さんが初めて。

…我慢なんて、しなくていいのに。

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