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私が呆気に取られてるのに気付いて、横尾さんはクスッと鼻で笑う。

「横尾さんが毒を吐くなんて意外、とか思ってる?」

「…思ってる。」

「まあ…、人前では冷静で理性的で寡黙な人間を演じてきたから。」

どういう意味?

私が見てた横尾さんは、本当の横尾さんじゃなかったってこと?

「Aの好きな俺も、そういう俺だったんじゃない?」

そう意地悪げに微笑んでは、私の頬に手を伸ばす。

すっと指で一度だけ撫でては、すぐやめてしまった。

一度だけ触れた横尾さんの指の感触が、ずっと抜けなくて痛い。









「本当の俺はね、実は腹黒くて野心家だから。
自分の出生の秘密を知ってから、考え方が180度変わって。
感情を表に出さないようになった。」

「じゃあ、私が見てた横尾さんは作り物の横尾さんだったんですか?」

私のその質問に、横尾さんは楽しそうにクスッと笑う。

「Aのそういう表現方法が好き。
作り物とか。
そういうところに惹かれたんだと思う。」









「私のこと、本当に好きでしたか?」

勢いに任せてそう聞けば、

「好きだよ、今でも。」

いとも簡単に、そう答えられてしまった。

「だからAには少しずつ見せてたけどね、本当の俺を。
Aのことを好きになっていくごとに、冷静でいられなくなったのもあるし。」

確かに別れ際の頃の横尾さんは、横尾さんらしくなかったね。

怒ったり、私の相談にも熱くなってたり。

そっか、あれが本当の横尾さんだったんだ。

そんな情熱的な横尾さんも、全然悪くない。

むしろ萌えポイントでしかない。

「嫌いになった?」

そう聞いてきては、やっぱり私の頬を一撫でする。

「全然。
情熱的な横尾さんも好き。」

あーあ、言っちゃった。

「好き」とか言うつもりはなかったのに。

私達はもう別れてんのに。

だけど、そんな私の言葉で本当に嬉しそうに微笑んだ横尾さんが、今は愛しくてたまらないんだ。









「Aがさっきから敬語抜きで話してくれるのがうれしかったから。
だからつい、俺も本当の自分を出してみたくなった。
なんか、距離が近付いたような気がして。」

でも本当はね、距離を置きたくて敬語をやめたんだよ。

もう私は、横尾さんのことは好きじゃないよって、アピールするために。

「本当の俺が今、何を考えてるかわかる?」

「わかんない。」

「とんでもないことを考えてる。
大富豪の革命みたいなやつ。
Aも乗んない?」

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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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