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「今だから話すけど。
俺、今まで付き合ってきた女の子の中で、Aみたいな子は初めてだった。
真っ直ぐで汚れてなくて。
だから最初、Aとどう付き合っていいのか、迷ったりもした。
天真爛漫で純真無垢なAが眩しくて、俺が汚しちゃうんじゃないかとか思ったり。」

迷ってたんだ。

全然気付かなかった。

私は天真爛漫でも純真無垢でもないけど、でも横尾さんの目にはそう映ってるなら、なんだかこそばゆい感じ。

「今までの彼女は…、今思えば本当に好きだったのかな、って疑問に思ったりもする。
大体、俺の性格に愛想を尽かして自然消滅パターンが多かったから。」

「そうなの?」

「Aみたいにきちんとフラれたことは無かったかもね。」

…嫌味か!

でもあの時はあれで、必死だったんだよ。









「だから、Aは俺の初めて好きになった人かもしれない。」

真顔で、そんな可愛いこと言わないで。

私だって、横尾さんみたいにすべてがツボ過ぎて、ギャップにすら萌えてしまうような人は初めてだよ。

「正直…、Aと別れた後、もうどうでもよくなって。
婚約して会社を継くことも一瞬考えたけど、やっぱり無理だった。」

「何で?」

「Aを知っちゃったから。
A以外の子には触りたいとも思わなくなったし。
A以外の女の子に、全く興味がなくなった。」

だから、真顔でそんな殺し文句、スラスラと言わないで。

「多分もう、俺はA以外の女の子は無理なんだと思う。」

そう言って横尾さんは、私の頭を自分の肩に引き寄せた。

意外にその指は暖かくて、触れている部分がチリチリと熱を持つ。

「Aがそうさせたんじゃない?俺のこと。
だから、責任取ってよ。」

横尾さんはようやく、やんわりと微笑みかけてくれた。

責任取れとか、そんな重い言葉を吐きながら。









「そろそろ寝ようか。」

…って、いい雰囲気になってきた今、それ言っちゃう?

私的にはもう少し縁側て、イチャイチャトークを繰り広げたかったのに。

返事をしないからか、横尾さんは苦笑いで私の顔を覗きこんできた。

てっきり、からかわれるんだと思ってた。

いつもみたいに。

なのに、大事なものに触れるかのように厳かに、唇がそっと重なってきて、

そして、すぐに離れた。

「キスも…、全部が終わるまではお預けにしとこうと思ってたのに。
我慢できなかったかも。」

…やっぱり、

酔った時の横尾さんは可愛い。

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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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