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『しばらくあの部屋に行くのはやめておこう』
そんなLINEが届いたのは、終業時間間際のこと。
やっぱり私達はマークされているらしい。
『今夜１０時に電話する』
電話…。
初めてじゃないかな、こういうの。
横尾さんからメッセージが届くことがあっても、電話がかかってくることは稀だから。
今夜は会えないけど電話はできるんだと思ったら、それだけでテンションが上がる。
なんだか私たちはようやく、本当の恋人らしくなってきたみたいだよね。
だけどまだ、手すら繋いでないけど。
夜の１０時、予告通りに携帯が鳴る。
「今、大丈夫？」
って、大丈夫に決まってるじゃん！
１０時になるのを、ずっと待ってたのに。
「A、今日は後とか付けられてなかった？」
いきなりそう聞いてくるってことは、横尾さんもつけられてたんだね。
「多分…、つけられてたと思う。」
会社を出てからずっと、電車の中でも強烈な視線は感じてたから。
スーパーに入ったら、いちいちついてくるし。
多分プロじゃないな。
あの顔、どこかで見たことがあるし。
秘書課の誰かかもしれない。
「横尾さんも？」
「俺の場合は、会社を出たら親父付きの運転手に強引に車で家まで送られた。」
強制送還か…。
横尾さんもなかなか大変そうだ。
「今日からうちの社に来てるんだよね？
どんな感じ？」
「今日は午後から出社だったから。
午前中は父親に説教されてて。」
…知ってる。
北山さんに聞いたから。
でもそれは、知らないふりをしておく。
「当分、会えなくなるけど。
こんな風に毎晩、電話はするから。」
同じ会社の建物の中にいるのに、会えなくて。
こうやって電話で話せるだけで幸せなはずなのに。
昨日まで一日中一緒にいた私達にとっては、こんな風に電話で話しているだけで、会いたくてモヤモヤしてきてしまう。
「本当は会いたいけどね。」
先にそれを口にしてしまったのは横尾さんの方。
言っちゃだめじゃん。
私だってさっきから、「会いたい」って言葉をずっと押し込めてたのに。
人間というのは我儘な生き物で、声を聞いていたら今度は顔が見たくなるんだよ。
顔を見たら、今度は触りたくなる。
どんどん欲が高まって来ちゃうんだ。
「なんとか会えるように考えておくから。」
横尾さんはそう言い残して電話を切った。
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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (
レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました！またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω＼)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました！ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年7月8日 3時
