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今の私の環境は、他人から見ると惨めな末路なのかもしれない。
でも自分は意外とその環境を楽しんでたんだけど、このままでいいとは思ってなかった。
ただ、美弥さん達が望むように、精神を病んで退社みたいなコースは歩みたくないっていう意地で、会社にしがみついてたような感じで。
だからこそ、うれしかったんだ。
横尾さんのその言葉が。
「結納、どうなったんだろうね。」
ぽつりと口にすれば、横尾さんは興味なさげにテレビを眺めている。
「さあ…。」
「気にならない?」
「特には。
もしダメなら次の手は考えてあるし、今回は「俺は思い通りにはならない」ってことを知らしめるのが目的だから。」
横尾さんは肝が据わってる。
てか、ファイターだ。
その横顔を見ているだけでわかる。
横尾さんが本気だってことが。
だから、不意にこんな質問をしてしまった。
「もし…、この作戦が全部うまくいかなかったら、横尾さんはどうするの?」
その質問に、横尾さんはしばらく考え込んだ後、
「逃げちゃうかもね。
Aを連れて。」
そう言って、今まで見たこともないくらい優しい目をして、私の頭をやんわりと撫でた。
「俺の望んでる結論は、自由になることだから。
全部うまくいかなかったら、迷わずAを連れて逃げるんじゃない?」
いきなりの大胆な横尾さんの言葉に、私はしばらく返事ができずにいた。
私を連れて逃げちゃうとか、生真面目な横尾さんらしくない発言だから。
「まあ…、Aが一緒に逃げるって言ってくれたらね。」
「一緒に逃げる。」
そんなの、即答に決まってんじゃん。
それって駆け落ちってことだよね。
そんなの…、願ってもないシチュエーションじゃない?
実は私、そういうのに憧れてたんだ。
「駆け落ち」とか「逃避行」的な、非現実に恋愛に。
「即答?」
そう言って笑う横尾さんは、
そのままふわりと、隣から私を抱き寄せた。
「しばらく、こうしてていい?」
耳元で低く響く、横尾さんの声。
鼻先を掠める横尾さんの香り。
この香りは私を落ち着かせる効果があると思う。
「最近、Aをこうしてると落ち着く。」
本当にリラックスしてる声で横尾さんがそんなことを言うから、私はもっとうれしくなった。
今、横尾さんは私と同じことを考えている。
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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時