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土曜日の夜は、横尾さんがイタリアンのフルコースを振る舞ってくれた。
「一度作ってみたかったんだよね。」
って、アンティパストからドルチェまで。
味はもちろんだけど、見た目もテーブルセッティングも美しくて、本当に横尾さんは完璧で私にはもったいない人だ。
それにしても、なんて贅沢な夜なんだろう。
でも…、ちょっと待って!
今夜は改めて2人で過ごす夜なわけで。
しかもお泊まり…。
まさか…!?
いやいやいやいや、横尾さんに限って。
そんな簡単に私に手を出してくるとは思えない。
食後はゆっくり映画鑑賞。
ビールを流し込む横尾さんの喉の動きを間近で見ながら、私はそわそわが止まらずにいた。
まさか今夜…、何もないよね?
だって可愛い下着なんて買ってないし。
買い物に行った時はそんなこと考えてもなかったから、下着やルームウェアも適当に買っちゃったもん。
大丈夫、横尾さんは真面目な人だから、今夜は絶対ないはず!
だけど私達は付き合ってるわけだから…、初めてのお泊まりとなると、することは1つなわけで。
そんな2つの思考が頭をグルグルと回って、映画の内容も全く頭に入ってこなかった。
「面白くない?映画。」
私がぼんやりしてるからか、横尾さんが心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
その仕草ですら変に意識しちゃって、目も合わせられない。
横尾さんの前では私は、おかしくなる。
今まで何人かの人と付き合ってきて、恋愛経験もそれなりにあるのに、横尾さんといるとまるで初めての恋愛かのように敏感になるんだ。
「…大丈夫です。」
「大丈夫って、何が大丈夫なわけ?」
そうやって、ますます顔を覗き込んでくるのはやめてほしい。
横尾さんに対して、私は免疫がなさすぎるというか…。
ある意味、私にとって横尾さんは出来過ぎた彼氏なんだよ。
高スペックすぎて、私とは釣り合わないって思ってるから、だからこんなに緊張するのかな。
「Aが楽しくないなら、俺も楽しくないんだけど。」
横尾さんの手のひらが、優しく私の頭に重ねられる。
まるで小さな子どもにするようにポンポンとバウンドさせては、フェイントでまた顔を覗き込んでくる。
「A、顔赤くない?」
頭に乗ってた手のひらは、そのままおでこにスライドしてきて、横尾さんは心配げに眉をひそめた。
「熱がある?
それとも酔った?」
…まさか。
私がビール程度で酔うわけがない。
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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時