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二度目に目が覚めたのは、あともう少しで結納が始まるっていう時刻だった。

なのに横尾さんは、私の隣で無防備な寝顔で就寝中。

今頃、横尾さんと連絡が取れなくて、ご家族は慌ててるんじゃないかな。

横尾さんのスマホは電源が切られたまま、ベッドの下に転がっている。

こんな時に熟睡出来るなんて、なかなか横尾さんは大胆だ。

私だったらきっと、昨日の夜から眠れないはず。

半身を起こして、横尾さんの寝顔を眺める。

規則正しい寝息と、可愛らしく寝乱れた前髪。

私の見たことのない寝顔の横尾さんは、時折ふにゃりと微笑んだり、しかめっ面になったり。

どんな夢を見てるんだろう。

そっと、その髪を撫でてみる。

途端に胸に襲ってくる、愛しさの塊。

私は…、この寝顔を絶対に守らなきゃいけない!









あんまり横尾さんが起きないから、私はこっそりベッドを抜け出して、冷蔵庫を開けてみた。

そろそろ会場の料亭に、両家の家族が集まっている頃。

そして横尾さんの代わりに、お兄さんが現れてるんだろうな。

どんな状況になってるんだろう。

考えただけでドキドキしてくる。









冷蔵庫には何も入ってなくて、財布を掴んで買い物に出かけようとしたところで、

「…A?」

ベッドの方から、私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

目を擦りながら不機嫌な顔でベッドから降りてきた横尾さんは、玄関先で珍しく強引に私を抱き寄せた。

「…どこに行くわけ?」

不満そうな声。

「お腹すいたから。」

「そんなの…、どこかに食べに行けばいいじゃん。」

…何?

こんな横尾さん、見たことがないんだけど。

甘えるように私に体重を預けては壁に押し付けて、耳元で甘ったるくそんなことを言ってくる。

どれだけギャップを見せたら気が済むわけ?

もう私は今にも腰が砕けそうで、立っているのも怠いのに。









「待ってて。
着替えてくる。」

急にしっかりした口調になったかと思うと、躊躇なく私から離れてしまう。

クローゼットの中には横尾さんの着替えが用意されていて、

「ちょっとシャワー浴びてきていい?」

って、私の返事も聞かずに、バスルームへ入ってしまった。

取り残された私は1人壁手にもたれたまま、呆然とさっきのシーンを反芻してみる。

寝顔は可愛いくせに、

寝起きの横尾さんは、なかなか危険だ。

もう少しで私から手を出しちゃいそうなほどに。

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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました!またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω\)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました! (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年7月8日 3時

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