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異動の準備が進み始めた頃、私はまた課長に会議室に呼び出された。
「異動の件だけど…、ちょっと変更になった。」
「それって、異動がなくなったってことですか？」
「異動はする。
でも行先が変わった。」
行先が変わった？
福岡は地元だから、少し安心してたのに。
異動先が、縁もゆかりもないような遠い地域だったらどうしよう。
「一応、本社に残れることになった。」
「本当ですか！？」
「まあね…。
社史編纂室っていう部署なんだけど。」
…あの噂の社史編纂室！？
まだ入社して浅い私でも聞いたことがある。
リストラ候補者の最後の行先と言われていて、あまりの仕事のなさに全員が数か月で辞めていくという伝説の部署だ。
「本来なら福岡支社の予定だったんだけど、横尾さんがお前をどうしても本社に残してやってくれって、社長に頼み込んだらしくて。」
だからって、社史編纂室！？
それならいっそのこと、福岡へ飛ばしてくれた方がよかったのに。
そして翌月、正式に配属された私は…、社史編纂室のプレートの張られた部屋のドアを開け、
しばらく愕然としていた。
…何ここ、倉庫じゃん！
棚の中には段ボール箱やファイルが大量に並び、その真ん中にデスクがひとつ。
そしてまさか…、この部署の社員って私だけ？
しかもパソコンは置いてあるものの、電話もなければコピー機もプリンターすらも置いていない。
デスクの上に置かれていたファイルには、前任者からのメモが挟まれていて、
『この部署は２０年後に発行される予定の社史の編纂をする部署です。
マニュアルはＰＣのフォルダに入っています。』
と書かれてあった。
２０年後…？
そんな先の見えない、やり甲斐のない仕事をずっと続けるんだ、私は。
しばらく悩んだ後、私は発想の転換をしてみることにした。
私の仕事をチェックする上司もいなそうだし、別にサボっててもバレなさそう。
…これは、もしかして自由ってこと！？
ちゃんと出勤さえしていれば、寝ててもいいわけだし、ゲームしててもいいわけだ。
逆に、これはラッキーな異動なのかもしれない。
実際、配属されて数日、私はこの部屋の居心地の良さに酔いしれていた。
倉庫ばかりが並ぶ半地下の端っこにあるこの部屋には、訪れる人もいないし。
閑職最高！
これで前と同じだけの給料がいただけるなんて、怠け者の私にはピッタリの異動なんですけど！
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鈴木さん(プロフ) - 失礼しました、素敵な作品です。これからも応援してます。 (2020年12月18日 4時) (
レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木さん(プロフ) - 初めまして。とても面白くて内容もスっと入ってきて幸せな気持ちになれました。横尾担ではないのですがとっても素敵なお話しで作者様も、横尾さんご本人までも好きになりました。他の小説も楽しませていただきます。素敵な咲く日ありがとうございます。 (2020年12月18日 4時) (レス) id: 3afdd984d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆかぺんさん» ありがとうございますm(__)m長い時間かかりましたけど、お付き合いいただいてありがとうございました！またAB型も読んでやってください♪ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 横尾渉さん» お返事遅くなりまして申し訳ないです(/ω＼)とうとう完結させていただきました。読んでいただいてありがとうございました！ (2018年12月27日 0時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆかぺん(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずーっと読ませていただいて、最後はどうなるのかと思いましたが、ハピエンで良かったです。他の作品のkとmも読ませていただいてました。ありがとうございました。 (2018年12月24日 9時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年7月8日 3時
