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15.6-3 ページ15

「だから話が早かった。 彼は今回の事も知っているし。 あ、Aの方が先に広報室に配属になってるんだから、君の人事は僕のコネではないからね、言っとくけど」
「…でも、VWへの入社自体がフィリップのコネだったから…」
「でも、その後Aが頑張って広報室に入ったんだから!」
「そうそう、そんで今は室長第二補佐!」
「ヤコちゃん!」
「あははっ」
「高瀬が言ってた。君は、本当によく頑張ってたし、正直抜けられるのは痛い。けど、より良い道を選んで欲しいって」

泣きそうだった。
2月の、あの寒かった日に、暖房のあまり効いていない会議室で、私のプライベートな事なのに、気付いてやれなくてすまなかったと、頭を下げてくれた室長の優しさを思い出す。
辞表を持参した私に、そんな物受け取れない、代わりにこれを書けと、無理矢理休職願を書かせた室長の気遣いを思い出す。

「あんたが一生懸命やって来たから、周りが寄ってたかって助けるのよ、もちろん、あたしもフィリップも」
「うん、ありがとう」
「よく考えて? 本当に僕になんの気兼ねもいらないからね」
「はい」

別にどうしても広報の仕事をしたかった訳じゃなかった。
ただ、コネで入った会社で、結果を出したかったし、せっかくドイツの会社に入れたのだから、ドイツ語を生かした業務をしたかった。
3年、販売店で営業をした。
社内のキャリアアップ制度を利用して広報室の配属になった。
東京事務所で、主に社内誌関連や、モーターショーや試乗会に絡んだ業務についていた。
ドイツ語は殆ど必要なかった。

こちらに来れば、念願のドイツ語を生かした業務、に、つくことが出来る。
でも、やはり迷う。
これはチャンスなのか、そうではないのか。

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馨子(プロフ) - リオさん» リオ様、コメントありがとうございます。仰る通り、篤人さんは何だか悲恋の匂いがしてしまうのです。時折見せる、物憂げな表情のせいかしらと思います。これからも、楽しんで頂けるよう、更新頑張りますね!f(^^;) (2014年1月15日 7時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 初めまして。素敵なお話をありがとうございます、気付けば一気に読んでしまっていました。難しい恋、切ない恋、大人な恋……どうして彼はこんなにも似合うのでしょうね!まだまだ前途は多難な様ですが、これからも楽しみにしております(*^^*) (2014年1月15日 3時) (レス) id: 28f69f1789 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - 星さん» 星様、コメントありがとうございます。ピーコートのくだりは私も書きながら少し切なくなりました(笑)。自画自賛ですね…。読んで下さる方の妄想をいかに引き出すか、余り細かく描写しても良くないですし…。続きも楽しんで頂けるよう、頑張りますね。 (2014年1月12日 7時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。もしかしたらこんな切ない想いをこんな恋をしているのかも…と妄想しつつ(笑)一気に読んでしまいました。内田くんがヒロインの赤いピーコートの後ろ姿を見て、切なくなる想いにきゅうとなりました…。素敵な大人のお話ですね。続き楽しみにしています。 (2014年1月12日 2時) (レス) id: 59223def46 (このIDを非表示/違反報告)
馨子(プロフ) - 空さん» 空様、コメントありがとうございます。逆風、吹いてますが、見守ってやって下さいませ。これからも楽しんで頂けるよう、頑張ります(*^^*) (2014年1月9日 22時) (レス) id: b44ca2bc26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:馨子 | 作成日時:2013年11月30日 1時

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