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そのまま歩いていると、イルカの看板と矢印
「壱馬、イルカ見に行こう」
『ん』
私の提案に微笑む壱馬
薄暗い照明から一転して、眩しい日差しが差し込むイルカショーの会場
「眩しいね」
私の言葉に目を細めた壱馬は、1度だけ首を縦に振る
『あっちにしよ、日陰だから』
壱馬が指差したのは、イルカのプールから少し離れた屋根の下
「そうだね、焼けそうだし」
2人で階段を登って屋根の下の椅子に座る
イルカショーのプール付近の椅子には、小さい子供を連れた親子が沢山並んでいた
「皆さん、こんにちは〜!!」
元気なお姉さんの声でスタートしたイルカショー
キラキラと日差しが反射する水面から、ピョコッと顔を出すイルカを少し遠くから眺める
『俺憧れてたんだぁ、好きな人と水族館行くの』
隣の壱馬が、聞こえるか聞こえないか静かに呟いた時
イルカが着水した水飛沫が高く上がる
『おー、すっげぇ。絶対あの辺びしょ濡れだな』
きっと壱馬は、私には今の言葉聞こえてないと思ってる
周りはガヤガヤしてて、うるさいから
でも何故だか私の耳は、どんなにうるさい場所にいても
壱馬がどんなに小さく喋ってもはっきり音として捉える
私はどうする事もできないのに
壱馬の想いを受け止めることはできないのに
そんな事を考える私の目には、また高く上がった水飛沫が映った
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ぬう(プロフ) - おこめさん» 他の方の作品を盗んだ事はございません。ご不快なようでしたら申し訳ございませんが、こちらの作品ページは閉じて下さいませ。 (2022年7月4日 19時) (レス) id: e513f955a5 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 題名の月下美人、同じ題名で臣くんのお話書かれてる方いらっしゃるのですが大丈夫ですか、、、? (2022年7月3日 16時) (レス) id: dc9901e6d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬう | 作成日時:2022年7月1日 23時