怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ8)

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ab side

「嘘！今隠したよね！」

師匠が隠した「何か」は、多分今彼のズボンのポケットの中にある。

「もうそんなトリックには騙されないもん！…ほら！」

無邪気に彼のズボンを探りにかかった俺の手は、それを止めようとした師匠の手よりも一瞬早かった。
結果、俺の予想は大当たりで、最後にはその「何か」…キラキラと青く光る宝石のようなそれは、俺の掌の上にあった。

「あれ、これって…」
もう一つ師匠の運が悪かったのは、それが朝一番、つまり、俺が朝ごはんを食べながらニュースを見た直後に起きた出来事だったということだ。

「これって、怪盗Snowが昨日盗んだってニュースになってたやつだよね…？『天使の涙』って名前のブルーダイヤモンド…」

それを聞いた師匠の顔は、もはや表情を失っていた。普段の優しい師匠からは程遠かった。
だから、俺はそこで初めて、自分が重大なことをしでかしたのだと気がついたのだった。

「ってことは、師匠が、怪盗Snow、なの…？」

しばらくの沈黙の後、師匠はついに、諦めたように口を開いた。

『いかにも。まさか亮平に一番に知られてしまうとは…』
「じゃあ、師匠、捕まっちゃうの…？」

その問いに、師匠は一つ頷いて項垂れた。
しかし、俺は彼を警察に突き出す気にはなれなかった。
だって、怪盗Snowが悪人なのかと聞かれればそうではない気がしたし、もし通報でもすれば、そのころには良き友人となっていたふっかを父親と引き離すことになるのも気が引けた。
それに何より、俺自身が大好きだった師匠と離れ離れになってしまうのは嫌だった。