怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ49)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:215,782 hit

幼馴染の回顧録ページ49

nb side

思えば昔から、涼太には何をしても勝てなかった。

俺と涼太は幼馴染で、小さい頃はよく一緒に遊んだ仲だった。
年は俺の方が(ほんの少しだけど)上なのに、向こうのほうが体も大きくて、足の速さでも器用さでも上回っていた。
おまけに彼は正義感まで強かったから、俺が揶揄われたりなんかするとすぐに庇ってくれた。

だから、涼太は俺の憧れの存在だった。

それでも、いつしか俺たちも大人になり、思春期特有のある種の気恥ずかしさみたいなものも相まって、一緒にいる時間は徐々に減っていった。
進学先も離れ、お互い別々のコミュニティでそれなりに楽しい青春時代を過ごした。

その時は、こうなるなんて思いもしなかった。
いざ働き始めるという段になって、涼太に再会することになるなんて。

「え、もしかして涼太？」
dt「…翔太？」
「うん、なんでいんの？」
dt「何でって、今日からここの団員になるから」
「…は？！待って待って俺もなんだけど！」

fk「ねえもしかして、2人知り合い？」
「あ、えっと…」
dt「幼馴染なんです、俺たち」
ab「おおー、すごーい！なんか運命ってやつじゃない？」

戸惑う俺をよそに、先輩団員の2人は大盛り上がりで根掘り葉掘り聞いてくる。
涼太も涼太で、何でもないような顔してその質問に答えてるし…

もちろん俺だって再会を喜んだことは喜んだ。
しかしそれ以上に、驚きや気まずさ、不安の方が大きくて、しばらくどうしたものかと固まってしまった。

とは言っても、皆が気にかけて心をほぐしてくれたから、馴染むのにそう時間は掛からなかったのだけれど。

それより何よりキツかったのは、その後のことだ。
俺はまたしても、涼太の凄さを目の当たりにすることになったのだから。