怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ31)

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師匠ののこしたものページ31

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mg「怪我、具合どう？」
「おかげさまで大分良くなりました」
mg「そっか…治ったらさ、やっぱりここ出ていくの？」
「多分、そうなんでしょうね」
mg「ふぅん…」

一緒に過ごすうち、何となくわかってきた。目黒さんはクールな見た目に反し、面倒見が良くて優しい人だ。
初めてこのサーカスに来たときの皆の様子からして、何か訳ありっぽかったけど、この人も僕と同じように辛い思い出があったりするのだろうか。

mg「あのさ、今回のこと、俺たちに依頼して良かったと思うか？」
「良かったですよ。うちの暗部は無事白日のもとにさらされたし、それに…」
mg「それに？」
「久々に、生きてるって実感したような気がして」

そう言うと、目の前の顔が心持ち曇ったような気がした。良かったって言ってるのに、何で？

mg「じゃあ、俺たちのことはどう思った？」
「どう思ったって…こんなこと引き受けてくれるなんて変わった人達だなとか、だけどかっこいいなとか思ったけど」

そんな事を聞く理由がわからず戸惑っていると、彼はまたゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

mg「…気を悪くさせたらごめん。最初に会った時から思ってたんだけどさ、あんたの本当の望みって、ただ親の悪事を暴くことだったの？」
「え？」

mg「いや、俺馬鹿だからよくわかんないけど… ずっと難しい顔してるから。
あのビルから逃げる時も、ミッション成功したよって俺が言っても、感謝するだけであんまり嬉しそうじゃなかった。
そりゃ親にあんなボコボコにされたショックとか、自分のせいで親が捕まるって罪悪感とか、色々あんのかもしれないけど」

目黒さんの携帯が鳴ったのはその時だった。
そして、届いたメッセージをチラリと確認した彼は、意味深な言葉を残した。

mg「…俺もあんたも、多分もう迷ってる時間はない。あんたの本当に欲しいもの、手に入れるなら今日だよ」