怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:215,773 hit

. ページ18

iw side

やると決めたからには完璧にやる。
阿部のその思いには確かに共感する。
けれど正直、俺はこの期に及んでモヤモヤした気持ちを抱えたままだった。

ふっかの目に負けてつい賛成してしまったけれど、法律的にはこんなの何度考えたって間違っている。
けれど、それを言うならターゲットだって法を逸脱しているわけで…

ふっかの言う通り、怪盗Snowには彼なりの流儀があった。だからこそ、当時の怪盗Snowの人気は凄まじかったんじゃないか。だったら俺たちは…

結局答えは出ないまま、すでに心を決めて走り出した皆にイライラしたりなんかして。
そんな気の迷いは多分みんなにもバレていたから、阿部が人数を絞ると言い出した時、こんな中途半端な俺はきっと選ばれないんだろうなと思った。

しかしその予想は外れ。
力を使う場面があるという情報があるからなのか、それとも、俺の気持ちを察していながら(いるからこそ？)逃げ場をなくすためにわざとやっているのだろうか…
後から思えば、阿部のことだから後者の面も多分にあった気がしてならないが。

そんなことしなくたって大丈夫なのに。
いくらモヤモヤ、イライラしているからと言っても、俺は皆を裏切るなんて出来るわけないのに。
…そうか、だったら…

fk「最後のチャンスだから、もう一回だけ聞くね。本当に、皆これでいいんだね？」

ふっかのその問いに、俺は迷いを振り切るようにして頷いた。
乗りかかった船だ、これが最良の方法と皆が信じるのなら、そうなるようにやるしかない。