怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ12)

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怪盗Snowの息子だという彼の申し出は、俺にとっては予想外だった。
普通の人なら、無用なことには巻き込まれたくないと思うもの。なのに彼は、ついさっき出会ったばかりの俺のことを何故か気にかけてくれている。

信じ難かったけれど、仕事柄、人を見抜く目だけは持っているつもりだ。その目を持ってしても、彼が何かを企んでいるようには見えなかった。

もしかして、彼なら本当に、僕の味方になってくれるのではないか。

fk「で、盗んで欲しかったものって何なんですか」
「本当に聞く気ですか？」
iw「おい、いいのかよ」
fk「いいから」

止めようとしたお仲間さんを遮って、彼はなおも僕に問うた。そして、彼のその強い目に、もう他の誰も逆らいはしなかった。
そこまで言うなら、僕はもう、どうなったって知らないから。

「… うちの本社の地下に、大量の現金があります。それを盗んでほしいと頼みに来ました」
fk「え、待って、自分の会社の財産を盗んでほしいってこと…？」

彼らが疑問を感じるのも当然だ。
その疑問を解消するには、もっと踏み込んだ話をしなければならない。

「実は、うちの会社がここまで大きくなったのには、社長の強引な手腕もさることながら、もう一つ理由があって…それを解き明かす鍵が、そのお金なんです」

fk「どういう意味？」
「じゃあもうはっきり言いますね。そのお金は、うちの隠し財産なんです」
ab「隠し財産…ってまさか！」

「…お察しの通りです。
うちの会社は、会社ぐるみであくどい儲け方をしては、その表に出せない利益を隠して、ついでにその利益分の脱税までしています。幹部たちはそれで私腹を肥やしてきた」

kj「うーわ、最低やな…」

「僕が異を唱えたところで聞く耳を持つような人たちじゃないから、いっそ全部暴露してやろうと思ったけど…現物以外には証拠もないし、警察の人も取り込まれてるみたいで動かないし」