怪盗サーカスのお仕事日記 (ページ1)

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プロローグページ1

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サーカステントの跡地に立って、通りがかる人々を眺める。
あんなに大きな建物が取り壊されたというのに、道行く人は皆それを気にも留めない。

しばらく耳をすましてみたものの、かろうじてサーカスのことを思い出したのは、昔からこの地域に住んでいるらしい奥様方くらいだった。

『あら？ここって前まで、大きなサーカステントがあったわよね』
『そう言えばそうね。ついになくなっちゃったのか、あのサーカス…』

『まあ最近は、お客さんもあんまり入ってなかったみたいだし、仕方ないか。私も小さい頃はよく見に行ったけど…』
『ええ、でもいざ無くなってみると、ちょっと寂しい気はするわね』
『そうねぇ』

しかし、そんな風に懐古したのもつかの間。
彼女たちも、言葉とは裏腹に大して悲しむこともなく、あくまで世間話の一つとしてその話題を終えてしまった。

これも時代の流れだと、そう言ってしまえばそれで終わりなのかもしれない。
もちろん少しは寂しいけれど、仕方のないことなのかもしれない。
でも…

『それより見た？怪盗Snowのニュース！』
『見た見た！本当かっこいいわよね！』

忘れられたサーカス団は、怪盗団に姿を変えて、変わらず人々に夢を見せている。
そのことに、果たしてどれだけの人が気付いているのだろうか。

いや、気付かれない方がいいのかもしれない。

だって、怪盗団だもの。
謎に包まれていた方が、きっとかっこいいじゃない？