わたしたちの休み時間

内緒なんてあってないようなもの ページ29

なでなで。


なでなで。




北「…」




さらさら。


さらさら。




北「っ、いい加減飽きろよ。」

『あ、やっとこっち見た。』




何が理由かわからないけれど、いつの間にか私は北斗を怒らせてしまったらしい。



朝のホームルーム前も

その次の休み時間も、


北斗は全然こっちを振り返ってくれなくて。



どうしたのと聞いても




北「なんでもねぇよ。」




なんてさ！全然教えてくれなくってさ！

でもなんか不機嫌そうなの！


困った子だよもう！
かわいすぎてさっきから撫でる手が止まらないんだこれ！！




『ほくたんどうしておこなの？』

北「なんでもねぇって。」

『不機嫌ほくちょすも可愛いし、
眉毛に力が入ってるほっくんもかっこいいけどね？
さらさらな髪の毛撫で続けていたいけどね？
だけど北斗が嫌な思いしてるならごめんなさいしたいのよ。』




流れに沿って撫でていた手を止めて
くりくりと毛先を指で遊びながら聞いてみると、

北斗はその手をパシッと払った。



北「別にお前が悪いとかじゃないけど、
ただちょっと…うん。お前もう俺に話しかけんな。触んな。」

『え、なんで。』

北「どうしても。」

『やだよ。急にそんなこと言われても納得いかない。』

北「俺元からお前きらい。」

『それ本気で言ってんの？』

北「っ、」




好きだ好きだと毎日しつこく北斗に言い寄ってるけどさ。

北斗が本気で私のこと嫌ってたり、
不快に思ってるならこんなことしてないよ。



さすがに好かれているなんて思い上がってはいないけど、

それでも仲良くしてくれてるのが伝わるから
私は毎日もっともっと北斗を好きになるわけで。



だから今のは北斗の嘘だってことはなんとなくわかるんだ。

じっと目を見つめて聞いてみれば、やっぱり北斗は言葉を詰まらせた。




『ほくちん嘘はいかんよ。』

北「お前ってなんでこう…」




はぁ、と諦めたように
北斗は一つため息をついた。



もごもごと渋っているけど、やっとお話してくれるみたい。




北「お前、昨日の放課後…」

『うんうん。…あ、』




なんかあったっけ？と思い出そうとした昨日の放課後。

そういえばあんまり北斗に知られたくない出来事が起こってたな。




北「…いつからなの。」

『やだなぁ、なんの話？』

北「真面目に答えろよ。」

『あ、ははは…』

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