白線の内側までお下がりください。 (ページ23)

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『大毅、具合大丈夫かなぁ～…。』

学校が終わり
いつもなら大毅と歩いている
駅へと向かう道のりを
１人トボトボと歩く。

「Aちゃーんっ！」

すると
後ろから
元気に私を呼ぶ声が聞こえた。

『あ、照史くん！』

太陽みたいにキラキラな笑顔で
「おーいっ！」と手を振る照史くんの横で
少しはにかみながら
小さく手を振る淳太くん。

淳太「ほな、帰ろか？」

『……はいっ』

きっと、淳太くんは
あの日のことなんて
覚えていないと思う。

だけど
私の存在を把握してくれていたことが
私にとっては
嬉しくて仕方ないことだった。

『……あ、すみませんっ。ちょっと、薬局に寄ってもいいですか？』

照史「別にええけど……何や、どっか痛いん？」

２人に挟まれて歩いていた時間が幸せで
大毅のことを
うっかり忘れそうになってしまった。

『いや、違うんですっ。その……私の友達が今日ちょっと体調崩してて…それで、お見舞いに行ってあげようかなーって』

淳太「友達って、あのいつも隣におる子？」

『あ、はいっ。大毅って言うんですけど、私の幼なじみなんです』

淳太「ふーん……そうなんや」

一瞬だけど
私が大毅の名前を口にした途端
淳太くんの顔が強張った気がした。

『大毅のこと、知ってるんですか？』

淳太「いや、まぁ……毎日見かけとるから」

そうやって
また優しく笑う淳太くん。

淳太くんの顔が曇ったのなんて
ただの見間違いだよね？きっと…

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