白線の内側までお下がりください。 (ページ22)

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……すると

淳太くんは「はぁ～っ」と
深いため息をついた。

淳「なぁ？重岡くん。…あの子は今日、かなり傷ついたと思う。やけど、他人の俺にはどうすることも出来ひんかった。……あの子の心に寄り添えんのは、重岡くん…君だけや。」

淳太くんが言うてる意味が
俺は理解出来ひんくて
ただ、淳太くんの目を見つめた。

淳「……やけどな？一個、忠告さして？

…………次、もし、

君が彼女を守られへんかったら……

………そんときは、

俺が彼女を奪うからな？」

そう言った淳太くんの顔は
確かに真剣で
笑顔の中にも怖さがあって
俺は目を逸らすことが出来ひんかった。

そして
淳太くんと俺は

「俺たちが知り合ったことは秘密にすること」
「Aを一人にしないこと」

そう約束して別れた。

……やからこそ、

Aが淳太くんに恋したって聞いたときは
心臓をエグられたような衝撃やった。

『あっ、こっち見た。』

「は？気のせいやろ？笑」

毎朝同じ電車に揺られる淳太くんを
Aは愛おしそうに見つめる。

『気のせいじゃないもんっ！今、絶対にこっち見たって！だって、私、バッチリ目合ったし！』

「変な生き物おんなーって、好奇の目やろ。笑」

そうやって
茶化したって
所詮、俺に勝ち目なんかない。

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