白線の内側までお下がりください。 (ページ20)

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必死に言葉を絞り出そうとしてる彼女を
俺は優しくなだめて
ゆっくり落ち着くのを待った。

『……っ、あの……ありがとう…ございました。』

今、思えば
このときからもう…

俺の気持ちは動いていたんやと思う。

辛いはずやのに
目真っ赤にして
必死に笑顔作ってて…

俺にとって、それは

悲しくて、苦しくて………

………愛おしく思えた。

やけど、俺は
あの子を好きになったらあかんねん。

「………あっ。」

彼女を家まで送ったあと
ばったり会ったアイツ。

そして、アイツは
俺の顔見て
目を見開きながら
マヌケな声を出した。

「…Aに何か用っすか？」

かと思えば
今度は攻撃的な目で俺を睨む。

……なんやねん、コイツ。

俺、初対面やぞ。

まぁ、でも…
きっと、彼女と
毎朝一緒にいるコイツは
あの子の彼氏なんやろな…。

重「俺、重岡大毅って言います。…ほんで、あんたは？」

ちょっと強気な態度に
さすがの俺もイラっとして
思わず、睨み返した。

淳「なぁ？自分、エラい強気やなー。重岡くんやっけ？…君の大事な彼女がエラい目に遭ってたのに、君は一体何をしてたん？」

重「は？」

これが
俺と重岡大毅との出会い。

…そして、約束の日。

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