白線の内側までお下がりください。 (ページ16)

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ー次は終点、終点です。

いつもと変わらない車内アナウンスも
今日だけはなんだか明るく聴こえて

ーお降りの際は忘れ物にご注意ください。

淳太くんの大きくてキレイな手を
こうして
もっと、ずっと…握っていたい、

……そう思ってしまう私は

きっと……欲張り。

淳太「………足元気をつけてな。」

『はい…。』

私に訪れた
突然の幸せな時間は
あっという間に過ぎ去って
電車を降りれば
パッと離されてしまった私たちの手。

照史「じゃあ、気をつけて学校行きやー！」

淳太「……じゃあ、また。」

まるで
夢を見ていたような……

『………はい、いってきます。』

………それぐらい
私にとっては幸せで儚い時間だった。

淳太「……じゃ…バイバイ。」

『…バイバイ……っ。』

そうやって
私に背を向けて歩き出す２人に
私も背を向けて歩き出す。

………きっと、これが最初で最後。

淳太「……な、なぁ！！」

『えっ？！』

だけど、恋の神様は
私をまだ見放してはいなかったようで

淳太「……今日の帰り、何時？」

恋の神様は
まだ淳太くんのそばにいていいよ、と
言ってくれている。

………そんな気がした。

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