白線の内側までお下がりください。 (ページ15)

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「Aちゃんって言うんや、名前。」

『あ、はい…。』

「……かわいい名前やね？」

ずっと憧れていた人が今
私の隣で優しく微笑みながら
私の名前を呼んでくれる。

もう、今まで生きてきた中で
今日という日が
１番幸せな時間かもしれない…。

淳太「なぁ、淳太くんって呼んでみ？」

『じゅ、じゅ……じゅん…た…く…ん。』

淳太「なんで、段々と声小さなんの。笑」

電車を待つ間
私は
２人の間にはさまれ
あったかい日差しを浴びる。

照史「…じゃあ、照史って呼んでみ？」

『照史。』

照史「俺はすんなり呼べんのかいっ！」

淳太くんも
淳太くんのお友達の照史くんも
とっても話しやすくて
大毅がいない
心の寂しさを埋めてくれる。

照史「あ、電車来たでーっ。」

淳太「…Aちゃん、足元気をつけてな。」

『は、はいっ。』

大毅がいつもしてくれるみたいに
淳太くんは
私の手を優しくとり
電車の中へと連れて行ってくれた。

少し混んでいる車内で
淳太くんはずっと手を握ってくれていて
照史くんもずっと
私の後ろに立って
人にぶつからないように守ってくれている。

淳太「………大丈夫？」

『あ、は…はいっ。』

淳太くん、

私、全然大丈夫じゃないよ？

だって………

大好きなあなたの手のぬくもりが
私の手を伝って
心臓をドクンドクンと強く打つから。

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