白線の内側までお下がりください。 (ページ2)

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「なんや、まーた見てんのか？」

そうやって
「ようやるわ」と
私をバカにしたように笑うのは
幼なじみの重岡大毅。

そんな大毅と
今日も
学校へ向かうため
駅のホームでいつものように電車を待つ。

『恋をしたこともない大毅には、この幸せなんか一生分かんないよぉーだっ。』

「…はいはい。言うてろ、言うてろ。」

そんな大毅とは
気づけば、ずっと一緒にいる。

幼い頃
父親の仕事の都合で
大阪に引っ越してきた私は
高校生になった今も
イマイチ大阪には馴染めなくて…

そんなんだから
関西弁もなんだか攻撃的に感じてしまって
未だに親友と呼べる女友達もいない。

『あっ、こっち見た。』

「は？気のせいやろ？笑」

『気のせいじゃないもんっ！今、絶対にこっち見たって！だって、私、バッチリ目合ったし！』

「変な生き物おんなーって、好奇の目やろ。笑」

『あー、もうっ！うっさい！大毅のアホっ！』

だけど、どういうわけか
大毅とだけはずっと離れずに一緒にいる。

毎朝こうして
何も言わなくても同じホームに立っていて
同じ電車に乗って
一緒にユラユラ揺られて
また同じ電車に乗って帰ってくる…。

そんな毎日が私と大毅の中では
いつのまにか当たり前になっていて

だから、私にとって大毅は
私のことを唯一分かってくれている
大事な大事な存在。

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