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めんどくさそうに、ため息をこぼし頭をガシガシ搔く先輩。
…終わったな。
これだから泣き虫は嫌だ。
自分のメンタルがこんなにも弱かったなんて。
でも、泣くなと抑えて引っ込むほど感情はコントロール出来ない。
何が原因で悲しいのか苦しいのか分からずでる涙。
夢見る恋物語みたいにはいかなくて、
ただただ好きな人に失態をみせてばかり。
…やっぱ、現実はこんなもんなのかな。
夢みた漫画のような、キラキラした理想の恋には程遠い。
きっと、主人公が重要なんだ。
前向きで、綺麗で、それでいてあの時先輩のもとへ足を向けることが出来るような人。
臆病で逃げることしか出来ないような奴は叶わない。
私と同じようにジミン先輩に恋している人は5万といる。
「えっと、、ごめん、Aちゃん。泣かせるつもりじゃ、」
ほら、困らせて。
先輩が謝ることなんて1つも無いのに。
そんなこと分かっていても、今すぐ涙が引っ込むことはない。惨めな姿を見せ続けるだけ。
「…Aちゃんは何で勝手に行っちゃったの?」
「…えっと、、、」
黙りこくる私。
だけど、先輩は私の返事を待たずにまた口を開く。
「……今、Aちゃんの中に僕はいる?」
「…………………え?」
ど、どうゆうこと?
なんて言おう。
質問の意図が分からず、口を開いては閉じて、を繰り返す。
すると、後ろからこちらへ向かう足音が聞こえてきた。
…この足音、どこかで聞いたことあるような……
「…ヒョン。」
私のすぐ後ろで止まる足音。
代わりに声が発せられて。
振り向かなくても分かる。
今は酷く安心させられる、ジョングクの声。
ふと先輩を見ると、先輩も驚いたのか目を見開いている。
なんでここに。
「じょ、ジョングク。ごめん、こんなつもりじゃ…。」
「いや、大丈夫です。どうせAがやらかしたんでしょ。」
…。
「でも、ごめんなさいヒョン。今だけ、今回だけAを譲ってください。」
「………分かったよ。」
「ありがとうございます。…では、」
いくよ、
と私の手首を引っ張って、先輩とは真反対に歩いた。
……てか、
「ミンギュ??」
「ん?」
「いや、ん?じゃなくて…。」
そう、私を引っ張るググの後ろを追う大型犬。
サンダルをペタペタならして、こっちは深刻だというのに、何故かニヤニヤしている。
そんな顔女子に見せていいのか。
「……………そうだった、ミンギュいた。」
「酷い!!」
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作者名:たぁー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TAA00/
作成日時:2023年2月15日 0時