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「…で、"僕にはホンキの相手が見つかったから、縋るのはやめてくれ。”そう言いたいわけ?」
「簡潔に言えばそうなるね。」
ドアは強がってた顔を崩せば、俯いて鼻をすすった。
…何回も見てきた女の子の涙。
それでも初めて心が痛むのは、きっと真正面から向き合っている証拠だろう。
これも全部、Aちゃんのおかげだ。
「ほんと、さいてー。今もその子のこと考えてんでしょ。」
「…うん。」
「ねえオッパ、要はこうでしょ?
"彼女とちゃんと付き合う為に、今までの自分の行為を償いたい。”」
赤くなった目をさらしたドアの顔は、何故か不敵に笑っている。
「黙っちゃって。フフ、図星?オッパが私を好きじゃなくても、オッパを1番分かってるのは私だよ。」
さっきまで悲しみにくれていたその目は、負けないと言わんばかりの勝気な瞳を宿す。
「オッパが望むんでしょ?ならちゃんと"償い"しなきゃ。」
「待って、どうゆう…」
微かに笑みを浮かべる彼女が、見ろと言うように目線を左に向ける。
釣られて顔を向けると、
「ッッ!!!」
____ガラスの向こうに見える、
同様して固まってたのがいけなかった。
前から伸びる手。
掴まれる頬。
近づく顔。
__触れた唇。
「望み通りになんて、させてたまるか。」
視界の端にいる君は
頬を濡らして走り去っていく。
反射で席を立つも、手首を掴む別の女の手。
「これが日頃の行いってやつだよオッパ。
どうやらあの子のおかげで綺麗事を覚えたんだろうけど、
"前だけ見よう?"それでも今までの行いは消えないよ。」
過去も事実。
ドアの言っていることが正しくて、図星で……
なんて、なんて僕はダサいんだ。
「……それでもまだあの子を追っかける?」
もう、僕の言動が分かったように真っ直ぐ僕を見つめるドア。
現に、僕の心は揺れている。
「確かに最低だよ。中身のない愛を囁いて、呆ればすぐ捨てる。きっと心のどこかで僕が1番可哀想だって思ってたんだ」
追っかけようと力んでいた体をそっと元に戻す。
すると僕の手首を掴んでいるドアのても緩んだ。
「そうだよ、オッパは可哀想。だから、本物の愛を私が教えてあげる。オッパを1番好きなのは私なんだから。」
上目で、涙目で。計算つくされた、女の顔
そういうドアから手を引き離し、
もう一度ドアと目を合わせる。
どうやら僕の行動は想定外だったみたい。
綺麗な目をまん丸に開けている。
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作者名:たぁー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TAA00/
作成日時:2023年2月15日 0時