現実 ページ23
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、、
帰った道を、また戻る。さっきと違うのは、走っているということだけ。
カフェが見えると、もうそこには先輩らしき人がいた。
…なんだかこれデジャブだなぁ。
って思ったけど。
「…?!?!なんで逃げるの?!」
私に気づいたジミン先輩は、逃げるように走っていく。
え???
え、これ追っかけたほうがいいの?!
そして謎に始まった鬼ごっこ。
普通に考えて、私が先輩に追いつくなんて無理じゃん。
なんとか見失わないように追っかけていると、急に角を曲がった先輩。
どこ行ってんだこれー!!
足で急ブレーキをかけ、角を曲がる。
と、
「ぎゃっっっっっ」
「っと、捕まえた!!!!」
勢いに乗っていた足は、急な障害物に止められた。
すんごい鈍い音なったけど。
私を受け止めた人は、倒れそうになりながらもなんとか踏ん張る。
どうやら角の横で待ち伏せしていた先輩に捕まったらしい。
正面から、抱きしめる形で。
…鬼って私じゃ無かったの。
バッと顔を上げると、いつかの優しい顔をしたジミン先輩。
微笑みを浮かべるその顔は、愛しさが溢れているような、甘いもので。
いつだってその顔に期待した。
私を特別に見ているような、甘ったるい眼差しを。
でもちょっと、今は怖い。
先輩の気持ちが、これっぽっちも分からないから。
・
お互いに浅い呼吸を繰り返し、息が整うまで見つめっぱなし。
文字通り頭は真っ白で、何も考える余裕なんて無い。
先輩がゆっくり口を開く。
頭がボーッとして、ただ発せられる言葉を待つだけ。
でもちょっと、期待した。
「さ、」
「…さ?」
「サムギョプサル食べに行かない?」
「…へ??」
・
「いやぁちょうどサムギョプサル食べたかったんだよね!」
「良かったです、私もサムギョプサルは好きなので。」
あはは、とから笑いしなかがらお肉を囲む私たち。
え?????
もう最悪。
私はもう半泣き状態。
やっぱり恋は難しかった。
私、てっきり告白されるのかと……
"サランヘ"
てっきり、先輩からサランヘが聞けるかと
さ?って聞き返したのに!!!
「…良かった、なんだか気まずかったから。」
仲直りだね、と微笑みながらお肉を包む先輩。
先輩とご飯なんて、いくら夢に見たか。
夢が叶った。
けど違う。
私が思い描いたシチュエーションとまっっったく違う。
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作者名:たぁー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TAA00/
作成日時:2023年2月15日 0時