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逃げてもいいことはないと知った。先輩を思い出してやけ食いをして、悲しい想いを吐き出して、スッキリさせる。
という作戦だ。
本当はユナと一緒に行きたかったけど、生憎デートらしい。
ラブラブだな。
カランカラン
「いらっしゃいませー」
お気に入りの窓際の席で。ココアと、フルーツタルトに。
あ、サンドイッチも食べなきゃ。
なんてウキウキしながら席が空いているかを確認する。
「……………え。」
さっきより軽くなった足取りを思わず止めてしまった。
日当たりがいいその席で、頬杖をついて外を眺める、
ジミン先輩がいたから。
ああ、ユナ、ハメたんだな。
完全にフラグじゃん、どうすればいいの。
あんなに会いたかった先輩。
でも会いたくない。どうかその視線に私を入れないで欲しい。
思うことは沢山ある。今すぐここを立ち去りたい。
それでも足が立ちすくむのは、
あまりにも先輩が綺麗だったから。
見とれるほど、綺麗で。
泣きたくなるほど、儚い。
何かの芸術作品みたい、
なんて思いながら、先輩から視線を外せないでいると、
あの日のように、スローモーションがかかったように。
先輩がこっちを見た。
ふわふわの金色を揺らして、
吸い込まれるような瞳と、ばちっと合ってしまった。
先輩が顔を見開く。
そんなに驚くかなぁ。そんなに会うのが嫌だったかな。
私は泣くのを堪えて、無理やり口角を上げた。
そうすると、先輩の瞳が揺れて、悲しい色に染まった。
…なんで、そんな顔をするんですか。
お店を飛びだしたい。目を逸らしたい。
なのに出来ないのは何で？
驚きでドクドクと波打つ鼓動のなかに、トキメキが混ざってるのは何で？
"A、そろそろ自分で気づかなきゃ。"
何でそんなに甘く微笑むんですか。
「Aちゃ、…」
「Aヌナ…？？」
先輩が口を開いた時、後ろから肩を引かれた。
振り向くと、カフェの制服を着ている…定員さん。
え…？誰？てか何で名前…
「Aヌナ、覚えてませんか…？」
「え？」
「あの、高校のときの貴方の後輩。テオです、ソン・テオ。」
「テオくん？！？！」
「はい、お久しぶりです。｣
と、はにかむテオくん。
え、、？
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作者名：たぁー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TAA00/
作成日時：2023年2月15日 0時
