変化 ページ12
ピンポーン
「はーい、ってA！」
「おはよ、準備出来たー？」
「で、出来てるけど…え、珍しい。何で今日早いの。」
「昨日迷惑かけたから、私からお迎えしようと思って。」
いつも朝はググから迎えにきて、のんびり私の支度を待ってくれるけど、今日は私から。
迎えに来てくれるのは、とても嬉しいこと。
だけど迎えにいくのもいいな。グクの反応が面白い。
「Aが俺より早く来るなんて…そんな日来ると思わなかったよ……。」
…すんごい失礼だけど。
「嬉しい？」
「うん、凄く。ありがとう。」
「えへへ、どういたしまして！！」
やった、良かった早く来て。
本当に嬉しそうに微笑むから、こっちも嬉しくなる。
自分でも昨日のことを気にしてたんだと思う。
迷惑かけたグクに少しでもお返しが出来たことに、
罪悪感がほんの少し軽くなった。
それでも、ユナや先輩の迷惑を考えたら図りきれないけど。
あー…嫌なこと思い出しちゃったなぁ。
「…A。」
「ん？」
グクに呼ばれて顔を向けると、
私の左手がグクの右手に包まれる。
この間より自然に、ゆっくりと指を絡ませて。
「大丈夫、俺がいる。」
その言葉に目を見開く。
この人には、何でもお見通しなのかな。
「…エスパー？」
「ふは、なわけないでしょ。」
Aのことなら、全部わかるよ。
なんて、私はグクのこと、分からないことばっかなのに。
「…ありがとう。」
「うん。」
グクは手を解かないまま歩き出す。
私も何も言わない。
「思うにさ、」
「うん？」
「今Aは、変わり途中なんだよ。」
「変わり途中…」
「そう。子どもだったAが、大人になるとき。」
子どもって…もう大学生なんですけど？！
明らかに不貞腐れている私をみてグクは可笑しそうに笑う。
「でもA、少し自覚あったでしょ？変わらなきゃって、
思わなかった？」
その言葉に喉をつまらせる。
図星だ。図星すぎる。
「グクはなんでも分かっちゃうんだね…つい昨日思ってばっかだよ。」
「言ったでしょ？なんでも分かるって。
でも、良いことだと思う。まぁ、変わっちゃうのは、寂しいけど。」
「グクはもう大人になったの？私気づけなかった。」
「いや、俺はまだだよ。まさかAに越されるなんて…」
「ふーん。でも大丈夫だよ！！グクから離れることはないし！」
そういうと、グクは悲しそうに微笑んだ。
「…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たぁー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TAA00/
作成日時：2023年2月15日 0時
