1. 〜順序〜 ページ8
このままそばにいてしまえば、真昼間から綺麗な彼女を汚しかねないと思った。
(いや、いつかはオレがあいつを…)
勝手に脳内で妄想が始まり、慌てて頭を振って妄想の彼女を消した。
何事も順序がある。
まず彼女に想いを伝え恋人となった後、これからの2人のことを決めて、旅をするか家庭を持つかを決断してなくてはならない。
少なくとも、時間はまだたっぷりある。早々に想いを伝え、その後のことはゆっくりと決めればいいだろう。
クロが一人で納得した時、林の向こうから彼女の悲鳴が聞こえた。
「A！？」
慌てて駆け戻ると川岸に彼女が座り込んでいる。その足には細長い蛇が噛みついていた。
「痛い！痛い！離してよー！！」
彼女は振り払おうとするが、蛇はグッと皮膚を噛んだまま離さない。クロはバタバタと暴れる彼女の足を捕まえて大人しくさせると、一瞬で蛇の首を引き離した。
「痛いよ…！毒…クロ、私死んじゃうのかなぁ…？」
ポロポロと泣きながら抱きついてくる彼女を優しく撫でる。茂みの中へと帰っていく蛇を見ながら、安心させるように彼女に言った。
「あれは毒蛇じゃねーよ…。噛まれて血が出てるだけだから、だいじょーぶだ…」
「怖かった…クロ、ありがとう…」
腕を緩めてお礼を言ってくる彼女を改めて見ると、その体には衣服を何も纏っておらず…。
「ん…！？」
「あっ…///」
慌てて隠す彼女。
「わ、りぃ…！///」
目をそらすクロだったが、柔らかな彼女の肌を思い出し、全身の血がドクドクと駆け巡った。
「私の方こそごめんなさ……ってクロ！？鼻血が出てるよ！？」
「にゃー！！近づくな！///」
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作者名：星歌 | 作成日時：2018年5月5日 21時
