クロと彼女～ifの物語～ (ページ28)

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2. ～翌朝～ページ28

「んっ…」

翌朝、吸血鬼が目を覚ますとカーテンの外は明るく、開きっぱなしバルコニーから爽やかな風が吹いていた。

「ふぁ～…」

体の痛みはすっかり消え、不死の自分に少し安堵する。
ふと右手を見ると、女が自分の手を握ったままベットに寄りかかるようにして眠っている。吸血鬼はギョッとし、慌てて手を離した。

(あのままずっと握ってたのか…)

「んー…」

女が目を擦りながら目を覚まし、起き上がった男を見つめる。吸血鬼の体が治っていることに気づくと、嬉しそうに立ち上がった。

「よかった！本当に治ったんですね！！」

「お、おー…ありがとな……」

吸血鬼は起き上がり、血の海と化した高価そうなベットを見て眉をひそめる。大丈夫ですよ、と女は笑って吸血鬼を安心させた。

「あー……金持ちの屋敷か？」

ぐるりと部屋を見渡す。ふかふかのカーペットにブランドのものであろうソファー、1人で寝るにしては大きなベット、豪華な装飾のされたドレッサー……どれも高価そうなものばかりだった。

「一応です。それより、あなたは本当に吸血鬼様なのですか？」

「あー…一応……」

吸血鬼はその時初めて女の姿をしかと見る。

長い黒髪に黒い瞳、白い肌に整った優しげな顔、少女っぽさを残したままニコリと笑う唇は綺麗なピンクをしていた。

(なかなかの美人じゃねーか…)

吸血鬼はジッと女を見つめ、女も不思議そうに吸血鬼を見つめた。