2. 〜手当て〜 ページ27
「他の人に言ったら大騒ぎになるので、私が手当てしますね。こう見えて、手当ては得意なんです！」
吸血鬼は血を拭ってくれる女を少し信用して、背中を向けた。
「せなか、のっ……じゅーだんうまってっから、ぜんぶ、ぬいてくれ…」
「は、いっ！」
女は血まみれの背中を一度拭いた後、体に埋まったままの銃弾を一個一個取り除く。肉が気持ちの悪い音を立て、吸血鬼の押し殺した悲鳴が響く。女も途中で吐きそうになりながらも、全て取り除いた。
「あっ…ぐっ…！いてぇ…いてぇ…！」
「ごめんなさい…！でも消毒しとかないと…」
吸血鬼が痛がる中、女は懸命に手当てする。血を拭い、傷口を消毒し、包帯で巻き……しばらくして、全ての手当てが終えた。
「手当てって言っても、傷口は縫えてないし……やっぱり病院に行った方が…」
「きゅーけつきだって言っただろ…こんなもん、すぐなおる…」
「よかった…」
吸血鬼は眠気が近づく中、ふと女の手を見る。その手は小刻みに震えており、思わずその手を握りしめた。
「なんで…ふるえてんだ…？」
「それ、はっ…」
女は突然血まみれになったベットに頭をつけ、吸血鬼に頭を下げた。
「ごめんなさい！本当は手当てなんてあまりしたことなくって…嘘ついてたの…！あなたを不安にさせたくなかったから…」
必死に謝ってくる女に吸血鬼はそんなことかと、ため息をつく。
「きにすんな…おまえがやってくれたことには、かわりねーだろ……」
「怒って、ませんか…？」
「あぁ……あさには、でていくから…ひとばんだけ、ねさせてくれ…」
吸血鬼は限界に達し、言い終わる前に瞼を閉じる。女が優しく手を握りしめてくれているのを感じながら、そのまま夢の中へと落ちていった。
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作者名：星歌 | 作成日時：2018年5月5日 21時
