クロと彼女～ifの物語～ (ページ15)

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1. ～残酷な人間たち～ページ15

「ま、待て！確かにオレは吸血鬼だ…でも、Aは正真正銘お前らと同じ人間だ。こいつだけは診てやってくれ…」

「バケモノと行動を共にする者がただの人間であるわけないだろう！きっと魔女の類いに違いない！」

「違っ…！」

「出ていけっ！！悪魔の使いめ！」

「話を聞いてくれ！！」

今までのクロならすぐに村を出ていた。しかし、クロは必死に彼女は無害であることを伝えようとしている。

クロは思った。

人間はここまで残酷だったのかと。

同種である彼女にすら、吸血鬼といるだけでバケモノとして扱われるのかと。

「早く出て行けよっ！！」

「いたっ！」

彼女の額に、子どもの投げた石が当たった。先ほど彼女を心配して声をかけてくれた、茶髪の子が投げた物だった。

「てめぇ…！」

クロは彼女を傷つけられ、遂に怒りが爆発した。長く伸びた黒い爪を振りかぶる。しかし、その手は彼女によって止められた。

「クロ、ダメよ…！人を傷つけちゃダメっ…」

「でもっ…」

「いいから…村を出ましょ？」

彼女は額から血を流しながらも、クロに縋りつき制止を促す。クロも彼女の必死な表情に鉤爪を下ろし、村人たちに睨まれながらも彼女を抱えて村を出た。