14.バラ ページ16
彼女が進んでいくと、奥に大きな扉があった。そこへ入ると、大きな部屋だった。だが中は荒らされ、ホコリをかぶっている所もある。
「どこかしら…」
ふと、暖炉の上にある肖像画に目が止まった。そこには親子が描かれている。怖そうな顔をした父親、優しそうな顔をした母親、そして空色の髪をした…。
「どうして…」
空色の髪をした少年の顔は、ビリビリに破かれ、もうどんな顔だったかも分からなくなっていた。
「一体誰の…」
その時、ヒュウっとバルコニーから風が入ってきた。バルコニーの方を見ると、部屋には似合わない美しいバラが大事そうにガラスの中に入っている。
彼女は引き寄せられるようにそのバラに近づいた。側で見ると、ほとんどの花びらは散っているが美しい。
「素敵…」
彼女がバラに手を伸ばし、触れようとしたその時だった。
「何をしているっ！！」
低く恐ろしい声が響き渡り、慌てて振り返ると野獣が息を荒げながら詰め寄ってきた。
「バラに何をした！？」
「な、何も…」
「このバラの大切さが分かってるのかお前は！！」
「し、知らなくて…」
「もういいっ！！出て行け！早く部屋から出ろ！！」
「ご、ごめんなさ…」
「二度と来るな！！」
野獣の恐ろしさにもうダメだと感じた彼女は、慌てて部屋から出て長い廊下を走り階段を降りて羽織ってきていたマントを着た。
それを見つけたロウレスが慌てて大声をあげた。
「ちょっとA！？どこ行くんすか！？」
「もうこんな所いられないわ…」
「そんな…！人間に戻れる最後のチャンス…逃すわけには行かないっす！！みんな起きて！！彼女を城から出しちゃダメっすよー！！」
ロウレスが呼びかけると飛び起きた家具達が人間に戻るチャンスが…！と焦って彼女を引き止めにかかる。が、それを彼女はうまくすり抜け出て行ってしまった。
「そ、そんな〜…」
「あの子は魔法を解いてくれる子じゃなかったのね…」
「あぁ…もうお終いだ！！俺は飯も食えねぇまま飯を食う道具で一生を終えるんだ！！」
「バラの花…あと何枚だ…」
「あと…6枚、じゃな…」
「彼女は戻ってこない、兄さんは身も心も野獣のまま、そして私達は一生家具のまま…ですか…」
残された城の者たちは、希望を無くしぞろぞろと持ち場へと戻って行った。
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カナリア(プロフ) - パロか！納得です！ (2019年8月2日 15時) (
レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - カナリアさん» コメントありがとうございます！お褒めいただき、ありがとうございます！原作無視……というかパロですので、物語の設定などは仕方ないのですが、そう思わせてしまったのは私の技量がまだまだな証拠ですので、これからも精進していこうと思います…！ (2019年8月1日 21時) (レス) id: 1d8ae6fd68 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - もうほんとに面白いwwwwwww原作無視が多いからかな？すっごい面白いwさくや相変わらず真昼ラブだしwすっごい面白かったです！ (2019年6月8日 11時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
星歌(プロフ) - つばきゅん＆ベルベルさん» コメントありがとうございます！椿「笑ってないで助けてよベル〜！！」 (2018年5月26日 21時) (レス) id: 6ef3acf862 (このIDを非表示/違反報告)
つばきゅん＆ベルベル - ベル「つばきゅんドンマーイwww.」 (2018年5月19日 21時) (レス) id: a4e8c73476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星歌 | 作成日時：2017年4月17日 18時
