第４話 ページ46
「藤原さんって、東京から来たんですよね」
――――まぁね。とは言っても田舎の方なんですけど。
「え〜、なぁんだ。じゃあこことあんま変わんないじゃん」
『電車で原宿、池袋に行けますけどね』Aは片手でスマホの画面を操作して打つ。打たれた文字を隣に付いて来る女子中学生、上橋に見せた。
「うっわ、大人げなぁい」
「――――
わざわざそうするのは尚も結界を張っているからである。
片手で結界をはる為手を組み、口では�狆Г┿��瓩魴�り返す。一瞬でも組んでいる手をほどいたり、唱え事を辞めてしまえば結界は失敗に終わる。
ワザとなのか、それを知らないのか上橋菜穂子は隣でペラペラと喋り続ける。
「でもぉ、守ってもらうなら男子が良かったなぁ」
ほら、あのちょっと背が低いけど顔を隠してたあの人とか。
その言葉にAは声を上げてしまった。
「狗巻君はっ！」
何と言おうとしたのだろうか。
狗巻が弱いわけではないし、彼女に酷い態度をとるわけもないだろう。かと言って、合って間もない、しかも自分より若い――――それでも数年だが――――上橋に自分の彼に対する気持ちを赤裸々に言えるわけがない。
何も言えず、口を噤んだAに、上橋は悪い笑みを浮かべる。
「ふ〜う〜ん」
顔を真っ赤にさせて自分を睨むAを、上橋は面白そうに笑う。
「――――あ」
Aは溜息をつく。結界をはり直す為に、村をもう一周することになった。めんどくさい。
夜。
Aは被呪者上橋を護衛する為、彼女の家にお邪魔していた。が、被呪者本人はウキウキとしている。護衛する人間が女であるからか、女子会のつもりだというのか。
「えっと、藤原さんの寝るとこはそこね」
そう言われ、通されたのは小さくも大きくもない普通の部屋。恐らくは臨時的に客間とされたのだろう。
与えられた部屋を見ながら、Aは上橋に語り掛ける。
「――――上橋さんはどこで寝るつもりですか？」
「やっだぁ、藤原さん。ヨバイするつもりぃ？」
「上橋さん」
真面目に答えてください。そう言えば上橋は顔を顰める。「何よ。ちょっとふざけただけじゃん」
「２階の１番奥の私の部屋。それ以外でどこで寝るって言うわけ」
２階の最も奥まった所。そこが彼女、被呪者の寝る場所。そしてAに与えられたのは１階の最も手前。
――――護衛するには少々離れている。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (
レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます！ これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください！ (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます！ (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作！？ ありがとうございます！ 嬉しいです！！ コメントもありがとうございました！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゆ | 作成日時：2020年10月28日 22時
