第４話 ページ41
Aの問いにも日下部は、ああと頷く。
「禪院、狗巻、パンダも一緒だ」
「皆も、ですか？」
草壁の言葉を聞いて、驚いた。同級生と言っても、その差はある。狗巻が準１級、パンダが準２級、真希は自分と同じ４級だが、その実力は２級以上。そしてAは実力も何もかもが正真正銘の４級呪術師。
基本、呪術師の級にあった仕事を斡旋する。つまり準１級の狗巻と万年４級のAが共に任務に行くことがない筈だ。事実、準２級のパンダともAは行ったことがなかった。
それなのに大丈夫なのだろうか。実力的に劣っている自分が行っても、足手まといになるだけではないのか。そもそもこの自分を指名したこの依頼こそが何らかの手違いではないのか。
それが顔に出ていたのか、日下部は苦笑する。
「大丈夫だ。依頼主はちゃんと藤原を指名しているし、狗巻達が単なる増援が欲しかったに過ぎないからな」
日下部からコピーしてもらったプリントを、Aは自室に戻りながら見る。
初めて指名してもらえた。それが書いてある記念すべきプリント。正直、額縁に入れて飾っておきたいとも思った。
少し足取りが軽くなったのは、それが原因の１つの為である。もう１つは狗巻、真希、パンダ――――２年生のほとんどと任務を行う事。
「北海道かぁ」
最後の１つは、任務先が北海道だということ。
「『ジンギスカン。他のお肉よりも安く、ヘルシー』、ヘルシー！ 良いね！ 『北海道お土産ベストテン。第３位、バターサンド。第２位、じゃがいものポテトスナック。第１位ホワイトチョコをクッキーでサンドした奴』――――……やっぱ、食べ物が多いなぁ。ね、真希」
「『ねっ、真希っ』じゃねぇんだよ」
東京駅で北海道新幹線に乗り換え、はや２時間。２時間たったにも関わらず、RURUBUの雑誌――――旅行雑誌をめくりながら早口で喋るAに真希は苛立ちを隠さない。
「そろそろ口閉じろ」
座席の肘掛けに肘を置き、真希は目の前のAを睨んだ。睨まれた本人は、えぇ、と文句をこぼしながらページをめくる。
「あ、石けんも有名なんだって。コールドプロセスっていう石けん最古の製造法でつくられてて、保湿性に優れるんだって」
肌とかしっとりするかな。どう思う？ 真希。
真希は溜息をつく。一瞬黙ったかと思えば、すぐに雑誌を指さして話し始めたからだ。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (
レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます！ これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください！ (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます！ (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作！？ ありがとうございます！ 嬉しいです！！ コメントもありがとうございました！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゆ | 作成日時：2020年10月28日 22時
