番外編 紫の薔薇 ページ38
「最後に、沙織ちゃんに会いたかったな」
武器を失い、手を上げて女子生徒は呟いた。
敵は人質を逃がしてくれない。このまま自分はどうなってしまうのだろう。敵の前で武器を自分から落として。
――――殺されてしまうのだろうか。
�犧賛イ舛磴鶚瓩隼笋�初めて会ったのは、私がまだ小１の時で、寒い日だった。
私はその時、だっさいジャージを着て石を蹴って遊んでた。石が少し遠くへ行ってしまったので、慌てて追いかけて行けば、そこに、見慣れない女の人が白い車から降りてきていた。
私が住んでいた村は誰もが顔見知りだったから、小１の私でもこのお姉さんが他の所から来たんだってことがわかった。
今まで蹴っていた石を拾って、その人を見る。
白い陶器の様な肌と、すべやかな髪。そして大きな目を持ったその人と、少しだけすれ違い様に目が合った。
そして、軽い、羽が生えているのではないかと思うくらいの足取りで階段を上り、振り返って私に笑いかけた。
私が承の頃、東京から村に越してきた沙織ちゃん。
お人形さんみたいに可愛くて、聖母みたいに優しかった沙織ちゃん。
私と沙織ちゃんは、年が離れていたけれどすぐに仲良くなった。
沙織ちゃんと一緒にクリスマスを過ごしたこともある。
沙織ちゃんがプレゼントとしてくれたサンタクロースが大きく書かれたシールブックを手にした時、雪が降り始めたのを覚えてる。
クリスマスに降った雪を見て、沙織ちゃんが嬉しそうに笑ったことも。
そんな沙織ちゃんを、村の奴等は仲間外れにした。
始まりは沙織ちゃんの同級生だった気がする。
沙織ちゃんは、ほとんど毎日１人で帰ってたから。
橋で、沙織ちゃんを遠巻きにして立ってる女共を見たから。
「田舎者を馬鹿にしている」と、勝手に被害妄想を膨らませて。
始まりは何であれ、だんだんと村中の人が沙織ちゃんを、沙織ちゃんの家族に嫌悪を表すようになった。
そして最後には無視をするようになった。私は小１だったから知らなかったけど、村の奴等は沙織ちゃんたちを村八分にしたんだと最近になって言葉を知った。
住んでいた田舎では朝、通勤通学する前に雪かきをしなければいけない。しないと、生きていけない程の雪が積もるから。
沙織ちゃんの所はまだ村に来たばっかりなのだから、手伝っても良かったのに。
アイツらはそれをしなかった。
勝手に被害妄想を膨らませて、沙織ちゃんを追い出した。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (
レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます！ これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください！ (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます！ (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作！？ ありがとうございます！ 嬉しいです！！ コメントもありがとうございました！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゆ | 作成日時：2020年10月28日 22時
