第２話 ページ18
「真希ぃ」
「なんだ」
「スタダ……」
「行かない」
「ですよねぇ」
もうスタダ行く時間ないもんね。帰ったら遅くなっちゃう。Aは陽が落ちかけている、茜色の空を仰ぐ。
ふと、前を歩いていた真希が止まった。写真でも撮ろうか、とスマホと首を上にしていたAはもろにぶつかる。
「ところで」真希が言った。彼女の声は、どこか笑いをこらえているようにも聞こえる。
「……なに」Aは嫌な予感がして、どんな言葉が来ても大丈夫なように備えながら聞く。
くくっ、と真希は笑い始めた。壺に入ったのか、真希は背中を丸めて震え始める。Aからしてみれば、何について笑っているのかわからないので、困惑するばかり。
「え、まって、本当になにっ？ 笑ってるだけじゃわっかんないのですがっ？」
真希の背中をパタパタと叩きながら聞けば、真希はようやく落ち着いてくれた。
真希は笑って出た涙を拭きながら言う。
「お前もちゃんとイカれてんな」
普通じゃねぇわ、と言ってまた笑い始める。
「え、まじ？ まじであたしイカれてる？ 本気と書いてマジと読む？」
「なァーんで嬉しそうなんだよ」
まだ笑いの余韻が残っている真希に、いや、嬉しいでしょぉ。とAは手で自分の頬を覆った。
呪術高専に来た時の、Aが思った周りのイメージは�爛ぅ�れてる�瓩世辰拭�それは今でも消えていない。
そして、自分は�猊當稔瓠�そう自分で思い、そしてコンプレックスでもある。
周りに合わせて生きてきた人生だった。Aは自分でそれはわかっていた。カメレオンで、タコで、モブだった。
強い人について行って、溶け込んで、弱くならないようにしていた、そんな人間だった。
それが、呪術高専に来て、周りが今までと全く異なっていた。
ね、どんな感じにイカれてた？ Aがそう聞けば、真希は、それ聞くか？ 普通と言った。
どんな感じだったのか、教えてくれたって良くない！？ キャンキャンと喚くAに、真希は教えるかよ、と返した。
正直、Aがどんな風にイカれていたのかなんて説明するのがめんどくさかったし、その後も彼女はきっと有頂天になるから、めんどくさいだろう。
めんどくさいことを避けたい、というわけではないが、この様なめんどくさい事はなるたけ避けたかった。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (
レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます！ これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください！ (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます！ (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作！？ ありがとうございます！ 嬉しいです！！ コメントもありがとうございました！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゆ | 作成日時：2020年10月28日 22時
