第2話 ページ12
「なんでそれを早く言わない!」
真希の怒涛が階段に響いた。それ、とはAが「ヨジババは異世界につれて行くというのもある」と言ったことについてを指している。
しかし、彼女は冷静に言い返した。
「大丈夫だからだよ。ゆう君は『ヨジババ、なんか、振り回してた』って言ってたでしょ? 異世界につれて行くだけなのに、武器を振り回す必要ない」
ゆう君、とは今学校の外で待っている小学生の事だ。
階段を上がるにつれ、呪霊――――仮想怨霊の気配は濃くなっている。「ヨジ」とつくからにして、4階にいるらしい。
うわぁ……。Aは口角をひきつらせた。
4階にたどり着いた、そのすぐの廊下に、仮想怨霊――――ヨジババであろうモノがいたからである。ヨジババもまた、A達の存在を確認した。
「ああ、あかい、いい、ああお、あお、あおいい、きき、きいい、ど、どどれれ、どれがぁぁいるぅぅ?」
カ、カカタカタと首を震わせて問うてきたソレ、は「ババ」とつくからか、小柄な老婆の姿をしていた。
しかし、皮膚と呼べるものは黒く、髪の毛同様渇ききっている。またバサバサと顔にかかる白い髪の毛の向こうに見える目は、落ちくぼんでいて、目玉がない。
ソレの身体同様、細く頼りない腕には小型の鎌が握られている。
鎌には血が少しついているので、すでに殺したか、もしくは怪我をさせたか――――。
「真希」
「なんだ」
武器を構え、仮想怨霊の出方を伺っていた真希に、同じく短刀を構えたAは1つ、提案をする。
「あたしがコレを相手にするから、真希はケン君を探して」
真希は仮想怨霊を見ながら、言葉を返す。「なんだ、さっきの任務の失敗を挽回しようって?」
「違いますぅ」
「冗談だよ」
「いや、本当に。――――さっきも言ったけど、真希の方があたしよりもずっと強い。だから、真希の方がが早くケン君を見つけられる。早く見つけてくれれば、あたしも逃げられる」
「結局は私まかせか」
「頼りにしてるよ」
へいへい、と真希が笑う、それとほとんど同時に2人は動いた。
Aが隠し持っていた暗器であるナイフを投げ、ヨジババがそれを鎌で受ける。その間に一気に距離を詰め、呪力を流した短刀を振りかぶる。
真希はAとヨジババの距離が近くなった、その時に素早く横を通り過ぎ、教室を確認しに行く。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます! これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください! (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます! (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作!? ありがとうございます! 嬉しいです!! コメントもありがとうございました! (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀`)bグッ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゆ | 作成日時:2020年10月28日 22時