検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:165,533 hit

第2話 ページ12

「なんでそれを早く言わない!」

 真希の怒涛が階段に響いた。それ、とはAが「ヨジババは異世界につれて行くというのもある」と言ったことについてを指している。

 しかし、彼女は冷静に言い返した。

「大丈夫だからだよ。ゆう君は『ヨジババ、なんか、振り回してた』って言ってたでしょ? 異世界につれて行くだけなのに、武器を振り回す必要ない」

 ゆう君、とは今学校の外で待っている小学生の事だ。



 階段を上がるにつれ、呪霊――――仮想怨霊の気配は濃くなっている。「ヨジ」とつくからにして、4階にいるらしい。



 うわぁ……。Aは口角をひきつらせた。

 4階にたどり着いた、そのすぐの廊下に、仮想怨霊――――ヨジババであろうモノがいたからである。ヨジババもまた、A達の存在を確認した。



「ああ、あかい、いい、ああお、あお、あおいい、きき、きいい、ど、どどれれ、どれがぁぁいるぅぅ?」

 カ、カカタカタと首を震わせて問うてきたソレ、は「ババ」とつくからか、小柄な老婆の姿をしていた。

 しかし、皮膚と呼べるものは黒く、髪の毛同様渇ききっている。またバサバサと顔にかかる白い髪の毛の向こうに見える目は、落ちくぼんでいて、目玉がない。

 ソレの身体同様、細く頼りない腕には小型の鎌が握られている。

 鎌には血が少しついているので、すでに殺したか、もしくは怪我をさせたか――――。



「真希」

「なんだ」

 武器を構え、仮想怨霊の出方を伺っていた真希に、同じく短刀を構えたAは1つ、提案をする。

「あたしがコレを相手にするから、真希はケン君を探して」

 真希は仮想怨霊を見ながら、言葉を返す。「なんだ、さっきの任務の失敗を挽回しようって?」

「違いますぅ」

「冗談だよ」

「いや、本当に。――――さっきも言ったけど、真希の方があたしよりもずっと強い。だから、真希の方がが早くケン君を見つけられる。早く見つけてくれれば、あたしも逃げられる」

「結局は私まかせか」

「頼りにしてるよ」

 へいへい、と真希が笑う、それとほとんど同時に2人は動いた。



 Aが隠し持っていた暗器であるナイフを投げ、ヨジババがそれを鎌で受ける。その間に一気に距離を詰め、呪力を流した短刀を振りかぶる。

 真希はAとヨジババの距離が近くなった、その時に素早く横を通り過ぎ、教室を確認しに行く。

第2話→←第2話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (151 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
429人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 狗巻棘 , 棘先輩
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます! これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください! (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます! (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作!? ありがとうございます! 嬉しいです!! コメントもありがとうございました! (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀`)bグッ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゆ | 作成日時:2020年10月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。